〈60周年を迎えた朝鮮学校の現場から〉 西神戸初級、震災乗り越え力強い笑顔 今も同胞の拠り所 |
「日曜に雨が降るって天気予報で言っているんですよ。同胞らが集まるか心配で心配で…」と李南龍校長がため息をついた。 11月6日、西神戸朝鮮初級学校創立60周年を記念して行われた「愛校祭」は校長の言うとおり、あいにくの雨だった。それにも関わらず800余人の同胞らが訪れにぎわいを見せた。
その理由は昨年末、地域同胞ら300人が集まり行われた忘年会がきっかけとなっている。その場で60周年行事の成功のために協力を訴えたところ、「共にがんばろう」との大きな反応が返ってきたという。 「60年の歩みの中、学校のために多大な支援をしてくれた同胞たちに感謝の気持ちを表す行事にしようと準備を進めてきた」(実行委員会の李政史委員長) 毎年11月にオモニ会が準備する定例行事を、今年は全機関の代表ら25人が実行委員となり、協議を重ねてきた。 実行委員会では、60周年行事当日を迎えるにあたり、学校の老朽化した箇所を直すため、分会や女性同盟、学父母らに1口1000円運動への協力を訴えた。 また、同校がある長田区はケミカル産業発祥の地で、朝鮮半島出身者ら1世が作り出したケミカルシューズ工場を営む同胞が多い。地域に根づいた同胞商工人らが「学校のためだ」と賛助金を惜しまなかった。 「この西神戸初級には、地域の特色が今も色濃く残っている。本当に力強い」(李校長) 校舎南側の壁の補修工事なども予算内で無事に終え、学校運営に必要な財政も目標額に到達した。 「愛校祭」で明るい笑顔を見せる生徒、学父母、同胞らの姿を見れば、行事を楽しみにしていたことが一目瞭然。そんな屈託のない笑顔は、阪神・淡路大震災の苦難を乗り越えてきた同胞らの力強さでもあった。 同胞らの拠り所 10年前の1995年、創立50周年を盛大に迎えるはずだった。しかし、その年に起こった阪神・淡路大震災。その時、同胞たちの拠り所がまさにウリハッキョだった。同胞らが自然に集まる場所だとみんなが再確認した。 当時校長だった総聯尼崎西支部の朴允圭副委員長はふりかえる。「当時は学校行事をやろうと考える余裕なんてなかった。同胞らの笑顔を見るとやっぱりハッキョが大切なんだって思う」。 また、オモニ会の李玉蓮会長は、「地域で学校を守ろうという熱い愛校心がここにはある。みんなでハッキョを盛り立てていきたい」と語る。行事の最後、113人の全校生徒が校歌を合唱した。アボジバンド「アッパーズ」メンバーのあるアボジがその場でこうアピールした。「ここにいる子どもたちが西神戸の未来をしょってたつ子どもたちです。これからもみんなで学校を盛り立てていきましょう!」。 1世同胞らの熱い愛校心は、若い世代のアボジ、オモニ、西神戸地域の同胞らの間に60年が経った今、しっかりと根づいている。(金明c記者) [朝鮮新報 2005.11.12] |