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〈60周年を迎えた朝鮮学校の現場から〉 四国初中 四国唯一という自負 「ウリハッキョ、守りたい」

オリニ教室の子どもたちの元気いっぱいの公演(10月29日、四国初中)

 四国朝鮮初中級学校の現在の生徒数は19人。寄宿舎で生活する生徒は2人だという。学校存続のためには生徒を増やすことが急務だった。

 「学校の運営をもうやめればいいんじゃないかっていう声も聞かれた。しかし、それは同胞らにとって許しがたいこと。四国の民族教育発祥の地がここ松山なんですから」と金英雄校長。

 創立60周年を迎えるにあたって、同校が力を入れてきたことが二つある。一つは教育の質を高めること。もう一つは生徒数を増やすことだった。同校では教職員と女性同盟、オモニ会などが対象となる家々を回って呼びかけた。

 一つの大きな動きとなったのが「オリニ教室」だ。小さい子どもたちを持つオモニ同士の交流を活性化させようというもの。幼稚班がないため初級部入学へつながらないのが悩みの種だった。しかし昨年からこの活動が定着し始めると、若い同胞らのネットワークが構築され同教室に入れる父母たちが増えた。同教室は毎月第2土曜に約20人が集まり、ウリマルの歌や踊りなどで子どもたちに民族心を育ませている。

 10月29日に行われた創立60周年行事でも教室で学ぶ子どもたちが元気いっぱいに歌う姿がみられた。うれしいことに、来年4月には5人の入学が決まっているという。

 オリニ教室の責任者で同校に子どもを通わせる金幸子さん(37)は、「ウリハッキョ卒業生にはやっぱり、民族心が奥底に眠っているみたい。オリニ教室でやっているのを見せるとみんな喜んでくれる。徐々にウリハッキョ入学にもつながれば」と話す。

卒業生の連携強化を

 子どもを増やせばすべてが解決とはいかない。そこで8月27日、卒業生らの期別の責任者が集まり、横と縦のネットワークを強化することを決めた。これまで40、50周年記念行事のたびに「卒業生の会」を立ち上げたが、持続しなかった。

 「やっぱり同窓会組織がなければ学校を守っていけない」−若い卒業生らの意見だ。60周年行事では、連合同窓会を立ち上げることが卒業生らの前で宣言された。今後1年の準備期間を経て形にする。

 33期卒業生の朴哲柱さん(30)は、「若い人たちを中心に学校を守っていこうという動きが広がってきている。やっぱりここが自分たちのより所だと感じている。だからしっかり守っていきたい」と語る。

 同校では9月27日、「民族教育協議会」も立ち上げている。各機関の専従活動家と教育会、オモニ会、若い世代の代表らで構成され、学校の維持、財政の保証、1口1000円運動を拡大させていくことなどを話し合った。年間270万の財政を目標400万に掲げ、他県の同胞らにも積極的に呼びかけていくという。

 四国唯一の民族学校という地域同胞らの自負心。同胞数は少なくとも、学校に対する愛着と情熱が1世から2世、2世から3世へとしっかりと受け継がれている。(金明c記者)

[朝鮮新報 2005.11.5]