「枝川朝鮮学校支援」都民基金が設立 未来、共に切り開くため |
東京都がグラウンド明け渡しなどを求めて不当に起こした東京朝鮮第2初級学校(江東区)裁判。都の不当な提訴に抗議し、民族教育権の確立を求める裁判闘争を支援することを主な目的とした「枝川朝鮮学校支援」都民基金が5月22日に発足した。2003年12月15日に都が提訴して以来、これまで7回の口頭弁論が行われたが、回を重ねるごとに、都側の不当性を浮きぼりにするものとなっている。
この間、学校を訪れた日本人、南の市民らは650人を超え(3月現在)、3月末に同校で行われた支援コンサートにも700人近くが訪れた。支援の輪は着実に広がっている。 「今年8月、私たちは戦後60年の夏を迎える。1世紀以上におよぶ侵略と植民地支配、排除と反目の歴史を直視し、その断絶を克服することによって、私たちの未来、私たちの子どもの未来を、共に切り開いていきたいと願っている。イデオロギーや既成観念にとらわれることなく、戦後60年間、民族学校が日本政府からの援助もなく在日朝鮮人の力だけで維持、運営されてきたという『歴史』と、いま枝川の朝鮮学校には60数人の子どもたちが学んでいるという『事実』から出発する」 都民基金への呼びかけ文にはこうある。この日、基金について説明した世話人の一人、「RAIK通信」編集長の佐藤信行さんは、まさにこの部分が、基金設立にあたっての原点であるとしながら、「大きな政治を語る前に日本社会で生きている隣人とどう向き合うべきかを考える必要がある」と述べた。同基金をモデルケースにしたいとの希望も持っている。 弁護団の一員である張學錬弁護士も「朝鮮学校だけでなく、ブラジル人学校をはじめ外国人学校関係者もこの裁判を注視している。新制度を作ることに結びつく。巻き返しの原点になる」として、同基金の設立が朝鮮学校問題に止まらないことを強調した。 2部の懇親会では、第2初級問題を扱ったビデオ「ぼくらの学校なくなるの?」(OurPlanet−TV)が上映されたあと、同基金共同代表の一人、田中宏・一橋大学名誉教授が講演した。田中名誉教授は、国立大学受験資格については「ひとまず解決した」ものの、助成問題などにおいて文科省の考えにまったく変化がないことを非難した。 同校の宋賢進校長は「裁判で問われるべきは学校ではなく、同化政策を推し進めてきた日本政府」だと指摘。多くの日本人が学校を支援してくれていることに謝意を表した。 3時間あまりにわたって行われた設立総会は、市民の力で行政、世論を変えていこうとの熱い思いが伝わってくるものだった。(文聖姫記者) [朝鮮新報 2005.5.31] |