3年目迎えた入学おめでとう応援隊@ 「朝鮮学校、私たちが守ります」 |
「アンニョンハセヨ!」「チュッカヘヨ!」。2005年4月1日、午前10時。川崎市桜本にある「川崎朝鮮初級学校」正門を通る子どもたちや保護者たちに、オレンジのリボンをつけハングルと日本語で「入学おめでとう」と書いたオレンジの旗を持つ若者たちが声をかけた。地域の住民たちも旗を見て「あ、今日、入学式なのね」と言いながら通り過ぎる。 川崎市は工業都市として成長し、その過程で多くの朝鮮人が強制連行などにより住むようになった。現在も在日コリアンが多く住んでおり、他地域に比べより活発な人権運動が存在している都市である。
この日、川崎市内にある朝鮮学校2校(川崎朝鮮初級学校、南武朝鮮初級学校)と、隣接する横浜市にある1校(鶴見朝鮮初級学校)で入学式と付属幼稚園の入園式が開かれた。日本人を中心とした地域住民たちの「入学おめでとう応援隊」(以下「応援隊」)がその時間に合わせて訪問し、活動する姿だった。 参加者たちの半数以上は若い学生たちである。YMCAに通う青年たちが、2年、3年と活動を続けており、その他にも地域の中学校の学生たちが教員と共に参加する例もある。日本の公教育では在日コリアンや朝鮮学校の歴史や現状を学ぶことはできない。応援隊はそうした学生たちが説明を聞いて学ぶ、現場教育の機会でもある。応援隊として活動しながら感じたことをお互いに共有する時間が大切だ。「私は近所に住んでいるんですけれど、この学校が朝鮮学校だとは知りませんでした」という学生がいるかと思えば、「僕はこの地域に半世紀近く住んでいるが、朝鮮学校の入学式には初めて来たよ」という、主に韓国と関連して活動されてきた在日コリアン1世の長老もいらっしゃる。また、最近日本に来たという韓国人のオモニがこの活動に共感して参加したりもする。応援隊は一種のボランティアグループだが、本当に多様な人々が参加しているわけだ。 朝鮮学校の保護者たちの反応は当初から良く、子どもたちも好奇心から近寄ってくる。校長先生も応援隊のメンバーたちに「式場に入ってください」と声をかけてくださる。本来日本語を使わずウリマルだけ使うよう努力している朝鮮学校、それも入学式で校長先生が直接日本語で応援隊を紹介してくださり、感謝の思いを伝えてくださっていることは、非常に象徴的な意味がある。応援隊活動も3年目を迎え、徐々に定着してきている。 日本に住む在日コリアンの子どもたちに言葉や歴史、文化を教え、そのアイデンティティを確立しようというのが民族教育である。在日コリアンに対する民族教育は、南側政府(韓国)ではなく北側政府(朝鮮)が積極的に支援してきたため、朝鮮学校は北側政府や、在日本朝鮮人総聯合会(以下「朝鮮総聯」)と密接な関係を保ってきた。この日入学式でも朝鮮民主主義人民共和国教育省から送られてきた祝電が紹介された。今なお「反北」「反朝鮮」感情が深い日本社会において、応援隊が始まり続いている理由は何であろうか?(小田切督剛、「入学おめでとう応援隊」発起人) [朝鮮新報 2005.5.11] |