準正規教育用教科書「ウリ」 総合的な言語能力養う |
総連第20回全体大会では、今後3年間最も力を入れる課題として民族教育の固守、発展を挙げた。 そのために、新時代の要求と同胞の志向に合わせ民族教育事業をより強化発展させるとともに、全機関、全同胞挙げてこれを押し立てていくことと、準正規教育体系を整備していくことをとくに強調した。 昨年10月に発行された準正規教育用教科書「ウリ」は、さまざまな事情によって日本の学校に通う同胞子女たちに、土曜児童教室や午後夜間学校など多様な形態の準正規教育網を通じて、ウリマルや歴史、文化などを教え、民族的自覚、情緒を培えるようにすることを目的としている。 教材(初級、中級、上級)は、ウリマルを聞いて話し読んで書ける総合的な能力を養うとともに、文化、歴史、地理についてわかりやすく解説している。全ページカラーで、イラストや写真がふんだんに用いられているのも特徴の一つだ。 初級−単語、簡単な会話学べる 国語−ウリマルの子母音の読み書き、名前やあいさつ、数字、単語、簡単な会話を学べる。口を大きくひらいて「ア」、口をよこにたくさん引いて「イ」など話す時の口の形の表記やア、ヤ、オ、ヨなど文字や単語を直接書き込めるスペースも設けている。そのほか、授業中によく使うことば、反対語、家族や親せきの呼びかたなども最小限、学ぶことができる。 地理−ウリナラの位置、面積、人口、山の名前など。白頭山、金剛山、三池淵など有名な名勝地は実際の写真や地図(イラスト)を見ながら楽しむことができる。 歴史−ウリナラの建国神話(タングン神話)やハングル(ウリナラの文字)のはじまり、金属活字、伽耶琴(カヤグム)、高麗青磁、亀甲船(コブッソン)などの文化とともに、乙支文徳(ウルチムンドク)将軍、李舜臣(リスンシン)将軍など有名な将軍についても簡単に説明している。 文化(風習)−ぶらんこ遊び、こままわし、凧あげ、板とびなど主な民族遊びや民族衣装(チョゴリ)、キムチ、プルコギなどウリナラの食べ物について紹介している。 そのほか、チョゴリを着た男の子と女の子のぬり絵、子どもたちに普及できるよう「インサ(あいさつ)」などの歌が楽譜付きで紹介されている。 中級−日常会話、パッチムの仕組みなど 国語−入学式、誕生日などさまざまな場面でのあいさつや、食事、電話など一日の生活の中での会話、パッチムの仕組みなどについて学べる。短い文章なら読んで書いて聞くことができる水準と言える。初級同様、単語などを書き込むコーナーもある。 歴史−高句麗、百済、新羅の三国時代について説明し、高句麗壁画、百済観音像、仏国寺など文化遺産を写真とともに簡単に紹介している。また、918年に王建によって成立された高麗王朝、1392年に李成桂によって成立された朝鮮王朝についても、絵や写真を用いてわかりやすく解説した。 地理−ウリナラの地形(山、平野、海、島、川など)や行政区域(18道、9市)、四季の気候などについて説明。地図を通じて位置を確認できる。 文化−正月、端午節、秋夕、トルチャンチ(1歳祝い)、還暦などのお祝いやユンノリ、将棋、歌舞ノリなど民俗遊びについて写真、イラストとともに紹介、解説している。初級同様、「故郷の春」「半月」など3曲の歌(楽譜付き)も紹介されている。 上級−一定の文章の読み書きできるよう 国語−初、中、上の3つの級の中でページ数(国語)が最も多く、旅行、映画、兄弟、料理などのテーマに沿ってさまざまな内容の会話を学ぶことができる。「聞く」「話す」の機能とともに基礎的な単語を利用し、一定の文章の「読み」「書き」ができるくらいの力が身につくよう配慮し、復習コーナーや読み専用に昔話を随所に掲載するなど、中身は充実している。 また、本教材は、最終的には「ハングル能力検定試験」の4級に合格できるくらいの水準に達するよう、編成されている。 歴史−はじめに、ウリナラ最古の国家である朝鮮、扶余、辰国など「ウリナラの文明」について説明。 「三国時代と朝・日関係」では、高句麗、百済、新羅の三国時代、日本に渡った大陸の文化(朝鮮半島が日本に及ぼした影響)、「高麗王朝と朝鮮王朝」では、高麗青磁や訓民正音(朝鮮王朝時代に作られたウリナラの文字)、壬辰倭乱、朝鮮通信使などについて解説している。中級の歴史内容を具体化させたもの。 そのほか、「植民地と解放、在日朝鮮人運動」の項目もある。 [朝鮮新報 2005.1.22] |