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李政愛・西東京朝鮮第2初中級校長に聞く、同胞女性協議会

大切な女性の経験と視点 問い直そう民族文化のあり方

 今年は祖国解放60年。朝鮮女性は、解放を勝ち取るまで日帝による民族差別と、女を徹底的にさげすむ封建制という2重、3重の差別と闘わねばならなかった。そして、今も男女平等を求める取り組みは、同胞女性たちの関心事となっている。そんななか総聯でも昨年9月、同胞女性協議会が発足、一年間の討議、研究過程を経て、先月、提言をまとめ、総聯中央女性局に提出した。その意義や内容などについて、協議会の責任者を務めた李政愛・西東京朝鮮第2初中級学校校長に話を聞いた。

−提言作成に加わった協議会メンバーたちは、提言について、どのように受け止めているか。

同胞女性協議会は1年にわたる協議を経て11月、提言をまとめた

 李 いいものができたと喜んでいる。01年5月に開かれた総聯第19回全体大会では、「総聯のすべての組織は女性同盟の地位と役割を高め、同胞女性、とくに新しい世代の女性の活動を彼女らの志向と生活のニーズに合わせて改善し、女性運動においての自立性と特性を生かすように支援していくべきだ」と指摘している。また、昨年の同20回全体大会でも「愛族愛国運動において新しい世代の女性たちの役割を高めるべきだ」と指摘している。今回の提言は女性問題における世界的な流れと総聯の方針に沿ったもので、同胞女性たちの多様化する生き方を反映したものと言える。

−協議会の提言をまとめるうえで、最も重要な論点は何だったか。

 李 私たちが念頭に置かねばならないのは、より豊かな同胞社会を築くために、男女が共に力をあわせ、参画し、責任を分かちあうシステムを形成しようということだ。そのためには、女性の経験を大切にしながら、女性の視点から同胞社会や民族文化の実情をもう一度問い直そうということだ。そのためには、組織や同胞社会で、まだまだ不安定な地位で、能力を十分に発揮できない女性たちをとりまく状況を変えていかねばならないと思う。

−女性たち自身が今、すべきことは何か。

 李 今、在日同胞社会には民族教育、文化、同胞生活奉仕という二つの大きな課題が提起されている。この課題を遂行していくためには女性運動の大衆化や地域化が前提となろう。子育て、子どもの教育、高齢者介護福祉などどれをとっても、広範な同胞女性たちの積極的な参加なくしては、その実現はのぞめない。そのためにも女性たち自身が、誰もが「犠牲者」とならず、「自分らしく」生きることのできる社会を築かねばならない。

−これまで、同胞社会の中ではあまり、性差別の問題については、論議されてこなかったような印象を受けるが。

山田昭次・立教大学名誉教授を囲んだ学習会(04年11月、東京都内で)

 李 この半世紀、在日同胞たちの生きる権利や人権問題、民族差別撤廃の闘争課題が山積していたため、女性を見下す封建制の克服などの問題があと回しになってきたという面はあると思う。しかし、そういう伝統的な女性差別の風潮の中でも女性たちは、勇気と希望を持って、さまざまな分野で大きな実績を残し、活躍の場を広げてきた。

−同胞女性たちの要望を聞くため実施したアンケート調査の結果について。

 李 対面方式で実施した。性差別克服を求める切実な声が反映されたと思う。一言でいえば、性の役割に基づく行動を要請する社会は、誰にとっても生きにくさを強いるということ。この問題への意識の欠落や「他者」への無関心、性差別への鈍感さや想像力の欠如が、女性たちの愛族愛国運動への主体的参加を鈍らせているのではないか。この問題に積極的に取り組むことが、同胞社会で老若男女が共に連帯して住みやすい社会を築くうえで大切になると思う。

−性差別を克服するには。

 李 とくに新世代を育成する民族教育の場や組織、家庭を通じて、不断に意識改革をしていくべきだ。長い間、たいていの女性は「結婚はまだ?」「彼氏がいるの?」というような質問攻めにあい、仕事といえば、男性の補助的な仕事に従事する場合が多かった。しかし、同胞女性たちはその鋭い社会意識と豊かな感性によって、長い間、民主主義的民族権利と祖国統一への課題に取り組み、それらを一つひとつ自らの力で実現させてきた。こうした力強い歩みと歴史的体験の豊かな基盤があるからこそ、今後の在日の女性運動はよりレベルアップした、飛躍的な発展が見込まれよう。また、国連をはじめ世界的な女性運動の影響も深まり、今後の女性運動はより多元化、国際化していくことになると思う。そのためにも、同胞社会における女性の地位と役割をいっそう高めるよう求めた今回の提言の意義について理解を深めていただきたい。(朴日粉記者)

[朝鮮新報 2005.12.11]