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「法治国家」の現実

 既報のように、日本の警察当局は10月14日、科協に対する強制捜索を口実に朝鮮出版会館を封鎖し、約5時間にわたって会館内の団体の業務を中断させた。社屋を移転したばかりの朝鮮新報社も被害を受けた。

 被疑事実と関連のない団体への捜索、必要性のない物品の押収、マスコミへのリーク、さらには拉致問題への関連付けなど総聯への弾圧であることは明らかだ。

 当日、捜査員らは朝9時過ぎに1階ロビーになだれ込んできた。警察当局は、説明を求める会館内の団体職員らに対し、機動隊を出動させ「排除!」などと叫びながら外に引きずり出した。捜査員の侵入を制止しようとしたある女性職員は、斧のようなもので殴られそうになったという。「法治国家」とはとうてい名ばかりのものだ。

 捜査員や機動隊員は完全にロボットのよう。入口を封鎖する捜査員に不当捜索について問いただしても何の反応も示さない。血の通った人間とは思えなかった。

 さらに許せないのがマスコミだ。公安の捜索意図を知っているはずなのに、職員と機動隊がもみ合う様子ばかりクローズアップし、あたかも総聯が罪でも犯したかのように煽り立てた。会館の入口を不当に封鎖し、弁護士の立会い要求を完全無視し、妊婦や病人の立ち入りすら拒否したことについては一言も触れていない。

 取材先で会う良心的な報道関係者たちはいったいどこに行ってしまったのか。

 米国での同時多発テロ以降か、拉致発覚以降か、はたまた小泉政権樹立以降か、マスコミがワイドショーや井戸端会議のようになってしまった。しかも、真実を語ろうとする者はたたかれてしまう。

 法律を徹底して守るよう教えられてきた。しかし、それだけでは済まない。常に弾圧の対象にされ、弾圧されても黙殺される。差別を痛感させられた。(泰)

[朝鮮新報 2005.11.16]