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〈朝鮮の食料問題解決とジャガイモ栽培P〉 食糧問題解決の突破口

強盛大国建設

 何よりもビールスフリーの種子イモ生産の採種体系が確立され、2004年度には1800万個、2005年度には2000万個のハイクロチューバー(ミニ塊茎)を生産し、全国の農場に供給したということだった。

 2年前に聞いた話では、2006年度までに採種体系を確立させ、年間1000万個のマイクロチューバーの供給を目標にしているとのことだったが、わずか2年足らずの間に、目標値を倍増する成果を収めたことになる。

 それでも大紅湍では、ラーヤ品種を植えるのに種イモが不足する状態だという。

収量調査のもよう(01年7月)

 所長の話では、営農作業を科学的に行い、栽培技術が大きく改善され、西海岸地域での2毛作農業の経験も豊富になったという。

 とくに、西海岸平野地帯では2期作採種体系が確立され、3月の初旬に密植し、ビールス媒体のアブラムシの発生前(5月下旬まで)に収穫を終え、6月初旬に2期目の作付けを行い、秋に収穫することによって、春には20倍、秋には5倍の拡大生産が可能になったという。

 このような話は、生物保護センターの所長からも聞いたが、重複するので割愛させていただく。

 前にも紹介したように、ジャガイモを主食に転換するのに欠かせない加工の問題が工業的方法で解決したという、昨年の先駆者大会での討論が大きな反響を呼び、大会後、機械の図面に関する問い合わせがひっきりなしに来るという韓徳銖軽工業大学で貴重な話を聞くことができた。

 同軽工業大学で開発されたこの機械は、2軸スクリュー成形機といって、ジャガイモの剥皮から摩砕、脱水の過程を連動させて、一挙に麺状に成形できるという。

 これを使うと、1時間に50キロの麺を加工することができて、動力消費も従前のものより2分の1で済み、省エネ機械として注目されているという。

 またジャガイモの加工食品として利用されているものとして、生麺や乾燥麺、冷凍麺はもとより、ポテトチップスやジェリーとかジャム、ジャガイモ飴やジャガイモ酒、パンや餅など、いろいろと加工し食生活を豊かにしているということであった。

 総連のジャガイモ試験栽培に携わってきたメンバーの一人として、その活動と経験を交えながら、ジャガイモ農業の現状と見通しについて見たまま、聞いたまま、思うままを率直に書いてきたつもりである。

 しかし、書き足りなかった部分が多いようで、気にかかって仕方がない。足りなかった部分とは何なのか。

 朝鮮は強盛大国建設という大きな構想のもとに、食糧問題解決の突破口をジャガイモ革命で切り開き、その手本を大紅湍で示すよう求め、ジャガイモ農業で大紅湍式科学農法の創造という一大転換をもたらした。

 私は、試験栽培の始めから終わりまで、なぜジャガイモなのか、なぜ大紅湍なのかを自問自答しながら、自分なりに納得して活動を進めてきたが、この稿を終えるにあたってまず感じることは、このジャガイモ革命という言葉の重みとその意味の深さである。

 このジャガイモ革命という深遠な思想に照らしてみれば、まだつかみきれない面がたくさんあることを痛感せずにはいられない。

 まだジャガイモ革命について書き足りなかった部分は、誰かが引き継いで書いてくれるものと信じながら、この稿の終わりにしたいと思う。

 これまでのご愛読を感謝いたします。(洪彰澤、元朝鮮大学校教授、おわり)

[朝鮮新報 2005.11.13]