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05年度焼肉店経営集中講座 各種講義とディスカッション 個店の強さ生かす手法学ぶ

顧客の深層心理つかみ個店の強さ生かすべき

 2005年度朝鮮料理(焼肉店)経営集中講座(主催=商工連合会同胞飲食業者協議会)が10月25、26の両日、朝鮮商工会館(東京都台東区)で行われ、講座には約70人の同胞、日本人経営者、店長らが参加した。今年は昨年までの1泊2日、2回講座を1回に凝縮したのが特徴。テーマは「朝鮮料理の本質を見極めよ! 生き残りを賭けた個店経営!」。

 初日の講座では、清水均・(株)プロジェクト・ドゥ・ホスピタリティーマネージメント研究所代表取締役の講義、パネルディスカッション、グループ別トークが行われたあと、BAMBOOGARDEN土古里(東京都台東区上野)の店舗見学が行われた。2日目は、韓啓司・恵クリニック院長、フードコンサルタントの大久保一彦さん、料理研究家の金純子さんの講義と東京・新宿の游玄亭で(株)叙々苑・朴泰道代表取締役の特別講演と食事交流会が行われた。

 長引くBSEの影響により苦悩が続く中、経営者たちは生き残りをかけ試行錯誤を重ねている。参加者らは、個店の強さを生かした営業手法を各講師陣の講義や繁盛店経営者、他店の経営者らとのディスカッションからヒントを得ながらそれぞれの答えを導き出していた。参加者らの表情を追った。

独自の流通確立

真剣なトークの中に笑いもあった繁盛店経営者らによるパネルディスカッション

 「関東と関西の肉の相場は?」「肉の仕入れと商品開発をどのようにしているのか?」「店舗を増やすのに気をつけていることは?」

 初日の講義、パネルディスカッションを終え、グループ別トークで参加者らの真剣な質問が相次ぐ。同胞焼肉業界には、まだまだBSEの影響が大きいことをうかがわせる会話が漏れ聞こえた。

 肉の仕入れの高騰により売り上げが伸びないのはどの店も共通の悩みのようだ。その答えを探るため、繁盛店経営者らのアドバイスが飛び交う。

 「個店なんだから、しっかり仕入れにオリジナルの方法、独自の流通を確立した方がいい。ようは対人間関係の構築をいかにうまくやるか」

 うなずく者もメモする者も、その目は真剣だ。

 一行は、東京都台東区上野にある韓国料理の「BAMBOOGARDEN土古里」を訪れ、料理を堪能した。同店は、3階建てのそれぞれのフロアで「和、韓、中」料理が楽しめるフードミュージアム。一行は、店作り、メニューブック、肉質と料理の盛り付けなど、さまざまな場所に目を向けていた。

自ら「勝ち組」へ

講義のあとの質疑応答

 2日目の講義。韓啓司・恵クリニック院長と料理研究家の金純子さんは、朝鮮料理の効能とさまざまな調理法について説明した。

 「にんにく、ゴマ、高麗人参。世界3大健康食品で朝鮮料理の基本・三大調味料はこの3つ」「キムチは世界の漬物の中でもっとも栄養が豊富」と両講師は強調する。

 「朝鮮料理に対しての情熱、一品に対する姿勢がどのようなものなのか。もう一度しっかり考えて」−金さんの言葉が参加者らの胸に響く。

 夢・商通信代表取締役の大久保一彦さんは、同講座に初めて招かれた。本業は作家。カリスマ「不振店舗再生人」と注目されるフードコンサルタントでもある。

 「飲食店の担う役割は時代によって異なり、その時代のニーズに対応することが繁盛の法則」

 中でも強調されたことの一つに「顧客の深層心理をつかむ」がある。顧客の需要、経済的条件、時間の余裕でアプローチが異なるというものだ。

 また、既存店の建て直しを考えるケーススタディーでも、「客層を絞る、ストーリーを作る、デメリットをメリットに変えること」など、念を押して説明がなされた。

 こうした講義を素直に受け入れる参加者らの表情からは、自ら「勝ち組」になろうという必死さが伝わってきた。

魂の入った仕事を

グループ別トークも積極的に行われた

 2日目の午後、一行は新宿・歌舞伎町にある「游玄亭」を見学。料理を味見しながら、朴泰道社長の講義に耳を傾けた。

 料理人から焼肉業界へ身を起こした朴社長は、「繁盛店には繁盛するなりの何かがある。つねに経営者、コックがおいしい物を知らないと。小さい店なら小さいなりに夢のある店を作るし、魂の入った仕事をすること。経営者は繁盛しないのを人やお客さんのせいにしない。つねに第3者の目でとらえて、周りが自分をどう見て何を望んでいるのかを知らなきゃ」と、いかにも泥臭い。若手には、「講座を見ていてもとても静か。もっと熱くなってもいい」と叱咤の声も飛んだ。

 有名フードコンサルタントや朝鮮料理専門家らの講義、一流店の見学で参加者らに光明は見えたのだろうか。

 山口・宇部で今年5月末に本店を移転して営業を始めた李起鮮さん(52)は、「いろんなセミナーに参加しているが、ここが一番内容が濃くて、そく現場に反映できるものが多い。もう一度じっくりキムチやヤンニョムの味を見直してみようと思う」。

 「テーマが個店経営なんで、これは来なあかんな思って参加した。帰ってすぐに実践しますよ」と、尼崎で店を構える康虎哲さん(33)は、翌日から店に出た。

 同胞焼肉店の現場は、今や待ったなしだ。(金明c記者)

[朝鮮新報 2005.11.1]