〈朝鮮の食料問題解決とジャガイモ栽培M〉 営農作業を科学的に |
2毛作試験栽培
代表団はジャガイモ2毛作試験栽培の収量調査を行い、その結果に従って信川郡の地域に合ったジャガイモ2毛作体系を確立するのを目的に、6月13日から現地入りし、まず試験圃での作況を見ることにした。 ジャガイモの地上部の生育状況は良好だった。農林1号は花が満開で、男爵、ワセシロなどでは花蕾の落ち込みが見られたが全般的な作況は想像以上に良かった。 そこで水田圃の一般試験区で6月19日から収量調査を始めることにし、続いて畑圃の一般試験区と精密試験区の調査を6月23日には終え、最後に試験区別に澱粉価を測定することにした。 収量調査の方法は一般試験区では3カ所で5坪区画内の塊茎を掘り起こし、規格別の重量の平均値を出した。精密試験区では5株ずつ掘り起こし規格別の重量の平均値を出した。 生育調査の結果は省くことにして精密試験区での収量調査の結果をまとめると次の通りである。 ●規格別の個数と重量を株当たりに換算
規格別の個数と重量を株当たりに換算してみると、別表のようになった。 収量調査の結果を全般的にみて言えることは、代表団が当初目標にしていたヘクタール当たり30〜40トンの収量は達成することができたということである。とくに男爵イモでは40トンを超す成績が得られた。 最初は整地条件が悪い中で行われた試験栽培だっただけに心配な面もあったが、作土の浅い欠点は成形培土機で高畦を作ったうえで2畦のプランターで植え付けをしたことが功を奏したと思われる。 このような結果は03年の春から降雨も少なく、比較的良好な気象条件だったこともあるが種イモ消毒から浴光催芽を忠実に実行するなど、営農作業を科学的に行い肥培管理を怠りなくやり遂げた現地作業員たちの努力の結実だといえるだろう。 収量調査の結果でもう一つ気づくことは、前年度の採種栽培でも12トンしか獲れなかった朝鮮の在来種のサドン早生、チャンジン6号が30トン近い収量をあげたことである。 このことは、営農作業を科学的にやればいくらでも収量を伸ばせるのだという確信につながったと思われる。 また、全粒イモと切りイモで試験してみてもほとんど差はないという結果もでた。ただ朝鮮の在来種は塊茎の粒が小さいので(30〜40グラムのものが多い)切る必要はないが、これでは安全な多収は望めそうもない。当分の間小さいイモは食べて、大きいイモは種イモとして植えるようにして、大きいイモを作ることにも心がける必要があろうかと思われる。(洪彰澤、元朝鮮大学校教授) [朝鮮新報 2005.10.25] |