〈朝鮮の食料問題解決とジャガイモ栽培K〉 申し分ない土質と気象 |
信川郡の2毛作 信川郡では、イネ、トウモロコシの前作として3月の上旬に浴光処理を行い、3月15日頃から冷床苗場で芽を出させ3月25日頃に定植し、6月10日頃までに75日間の生育期間を経て収穫するとのことだった。 6月の中旬には後作の栽培を控えているので、何としてでも生育期間の短い早生品種が要求される。 ちなみに前年度(02年)の収穫は1ヘクタール当たり12トンだったから今年は何とか倍増したいというその心情は察して余りあった。とにかく科学的な営農法で増収をはかろうということで試験栽培にとりかかった。
代表団は信川郡の白石協同農場でジャガイモ2毛作の試験栽培を行うことになった。 信川郡は黄海南道の平野地帯で、朝鮮の穀倉地帯のひとつである。定植期(3月下旬)から収穫期(6月中旬)にかけて気温15〜20℃、昼夜の温度10℃以上、地温も10〜20℃、降水量は3月から平均10〜20ミリと気象条件は良く、土質は有機質が不足しているものの有効態リン酸はやや多く、酸性度、窒素分も申し分なかった。 これは2毛作農業には格好の条件になっているといえる。 信川郡での2毛作ジャガイモ農業の実態を見ると、栽培面積は畑地で30ヘクタール、水田で31ヘクタールであり、数年前からジャガイモ対イネ、トウモロコシなどの2毛作を本格的に始めている。 われわれの試験田には国道沿いの畑地約7ヘクタール、水田約3ヘクタールの土地があてられた。
試験田の耕起は前年の10月にプラウで実施したらしいが、充分になされておらず作土の深さは12〜15センチ程度、整地も荒く拳大の石ころがゴロゴロしており前作物のトウモロコシの切り株と一緒に取り除くのに大変苦労した。 土質は洪積粘土層で乾燥すれば砂埃が舞い上がり、通気性、排水性、保水性は不良とみなされた。それで作土層を25〜30センチになるようロータリーで砕土整地をお願いした。 代表団はこのような条件で多収を確保するための対策を講ずるほかなかった。 試験区は一般試験区と精密試験区に分けて設定し、それぞれを機械化体系と冷床苗方式に分け、畑地と水田、定植時期別と裁植密度、また切断方法などによる比較試験を行うことにした。 そのためのジャガイモの品種を次のように確保した。 試験に供した種イモの品種にはワセシロ、男爵、農林1号、とうや、ベニアカリ、キタアカリ、ホッカイコガネ、メークインの計8品種、それに朝鮮の在来種としてサドン早生、チャンジン6号の計2品種、南朝鮮のバイオシードである秋白とスミの計2品種があてがわれた。 これらの品種の特性は大体別表の通りである。 代表団が行った技術指導については次号で述べる。(洪彰澤、元朝鮮大学校教授) [朝鮮新報 2005.10.19] |