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〈ざいにち発コリアン社会〉 7大陸最高峰制覇をめざす 都内在住の鄭義哲さん

 7大陸最高峰(セブン・サミット)と呼ばれる山々がある。登山家にとってその制覇は誰もが夢見る目標だという。2000メートル級から世界最高峰のエベレスト(チョモランマ)までを登頂することはそう簡単なことではない。死と隣り合わせの危険がつきまとう。そこまでのリスクを背負ってまで、登山家はなぜ目指すのか。今年1月25日から登山を始めたばかりの、都内でカフェを経営する鄭義哲さん(33)もセブン・サミット制覇を目指している。「そこに山があるから」と単純明快な理由で登山を始めた鄭さん、「近い将来、実現したい」と語る。

山頂に立てば全てが無に

コジウスコ山頂で朝鮮半島の旗を広げる鄭さん(3月)

 7大陸最高峰とは、アジアのエベレスト(8848メートル、中国、ネパール)、北米のマッキンリー(6194メートル、アラスカ)、ヨーロッパのエルブルース(5633メートル、ロシア)、アフリカ、キリマンジャロ(5895メートル、タンザニア)、南極のビンソンマシフ(4897メートル)、南米のアコンカグア(6960メートル、アルゼンチン)、オセアニアのコジウスコ(2230メートル、オーストラリア)とカルステンツピラミッド(4880メートル、パプアニューギニア)だ(オセアニアは、地域全体ならカルステンツピラミッドが最高峰だが、大陸でみるならコジウスコなので、両山のどちらかを登頂すればよいことになっている)。

 鄭さんは3月、キリマンジャロとコジウスコを登頂した。

 5月にも、エベレストより難しいと言われるマッキンリーに挑戦した。

 マッキンリーには世界から年間約1200人の登山家が訪れる。鄭さんも20日間分の食料と着替えなど数十キロにもなる装備で出発したが、観測最高でマイナス60℃、風速83メートルにもなる過酷な条件に途中で断念していた。

 「山登りの12時間のうち4時間が飲料水作り。吐いた息が凍ってしまう寒さ。とにかく悔しかった。(マッキンリーは)来年6月に再挑戦し必ず制覇したい」

 キリマンジャロは「山頂に到達した時、もうなんとも言えない気持ちだった。つらくても登りきればすべてが無になる」とほほ笑む。

納得いくまでとことんやる

キリマンジャロの山頂で(3月)

 元々の趣味は釣りだ。それも「マニア」の域に達した釣り人だ。

 釣りと出会ったのは24歳の時。カフェの経営を21歳で始め、3年間、一日も休まず働いた。そして、商売が軌道に乗って余裕ができると、空いた時間を釣りに割いた。友だちと共に興味本位で始めた釣りだがすぐにのめり込んだ。

 八丈島には180日間も滞在したことがある。伊豆諸島はすべて制覇した。島では早朝5時から夕方まで釣り三昧だ。

 「イシダイの日本記録に挑戦し続けたこともあった。とにかくいろんな場所に行った。納得のいくまでとことんやる性格なんです」

 気になるのは、なぜ「釣り」から「登山」になったのか。転向したきっかけがあると思いきや、「知り合った島の人に誘われて400メートルの小さな山を登るのに、全くついて行けなくて悔しかったから」と理由は単純なものだった。

 以後、週に3回のロードワーク、山を登り実戦トレーニングを積んだ。高山病にも注意して、低酸素室のトレーニングで高所対策も万全を期した。

 インターネットでキリマンジャロへの登山者を募集していたのを見て決めた。登山を始め約1カ月でキリマンジャロを登頂したというから、中途半端な気持ちではない。次は南米のアコンカグアを狙って準備を進めている。

 「7大陸制覇は、できると思ってやっていますから。最終的にはやっぱりエベレストですね」

 山頂で望む壮大な青い空、青い朝鮮半島が描かれた統一旗とともに写真に納まる鄭さんの7枚の写真が見られるのも、そう遠くないかもしれない。(金明c記者)

[朝鮮新報 2005.10.18]