〈朝鮮の食料問題解決とジャガイモ栽培D〉 初年度の教訓を生かす |
試験栽培初年度のジャガイモ収量調査は、品種ごとに10株3カ所掘取り調査の方法で9月11日に行った。その結果は表の通りである。澱粉価の測定は9月13日に行われ、これも朝鮮の在来種と比較してみた。その結果も表に記した。 調査結果を見てもわかるように北海道の品種は朝鮮の在来種に比べて澱粉価は多かったが、塊茎の収量は少なかった。 北海道ではヘクタール当たり60トンは優に取れる品種なのに大紅湍ではどうしてダメなのか。
その原因についてはいろいろ考えられるが栽培技術の面で分析してみると、だいたい次のような要因を探すことができる。 @まずジャガイモの管理の問題がある。 3月の中頃、日本からの船舶輸送、陸送の段階で一部凍傷を受け、外見でそれとわかるような生理的障害のイモが多かった。現地に到着後これらを選別せずに、そのまま浴光場へと運んだらしい。 A浴光催芽の問題 浴光場の施設が整っておらず、夜間は零下まで気温が下がり昼は高温障害で黒色心腐病にかかり、これは外見では区別がつきにくく、切ってみて初めてわかるものが多かった。また浴光処理の開始が遅れ幼芽はか弱く不ぞろいであった。 B栽植時期の問題 代表団の現地入りが遅れ、植えつけが5月13日から17日までと遅かったことにより、生育遅延、茎葉軟弱に落ち入り早期疫病発生の要因となったと考えられる。 C圃場整備の問題 作土の整地が不充分なため、植えつけ、培土に深浅があり生育に与える影響が大きかった。とくに排水不良で長雨、集中豪雨の結果停滞水ができ、加えて凸凹が多く適正な防除もできず、疫病多発の要因となったと考えられる。 D農薬散布の問題 疫病防除の薬剤散布は早急に7日間隔で実施したが、散布量が不足したうえ、スプレーヤーの散布圧力が低いため葉の裏まで薬剤が付着せず、疫病の防除効果が不充分であったと考えられる。 E雑草の問題 シバムギ、ヨモギなどの雑草が7月中旬以後繁殖し、培土が見えなくなるほど覆いつくし疫病激発につながったとみられる。 これらの要因に加えて、7月下旬からの悪天候が疫病発生に拍車をかけ罹病率90%という最悪の結果を招いたものと考えられる。 このことが茎葉成長停止、塊茎肥大停止となり、予想収量を大きく下回り、澱粉価も高まらない原因になったと考えられる。 代表団は以上のような分析にもとづいて、初年度の試験栽培での教訓を生かし、2年目の試験栽培に向けてその準備にとりかかることにした。(洪彰澤、元朝鮮大学校教授)
[朝鮮新報 2005.9.4] |