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〈留学同結成60周年記念マダンアニバーサリー〉 同胞大学生、幅広い議論

 4〜6日にかけ、富山県氷見市で行われた留学同結成60周年記念「マダン−アニバーサリー」。5年ぶりに全国規模での開催となった今年は、全国の都府県から留学同盟員180余人が集った。今年はウルトラクイズ、スポーツ、芸術競演、大バーベキュー大会などの「60祭」と演劇公演、講演、班別討論などが行われた「サマーセミナー」に分かれ、メリハリのきいた「場(マダン)」、例年とは一味違う「マダン」となった。

全国から集まり交流深めた「60祭」

交流を深めたトンムたちで記念撮影

 色とりどりのTシャツに袖を通した参加者らは初日、「60祭」の幕開けを待っていた。クイズ大会では、「朝鮮民主主義人民共和国はいつ建国された?」「日本の非核3原則は?」「ITの正式名称は?」など広範囲なクイズが出題され、参加者を大いに楽しませた。このときの様子に「長旅の疲れはあっただろうが、全国から集まった参加者の今からわくわくする雰囲気が感じられた」(クイズ司会、留学同東海の文時弘委員長)。

 サッカー、バレー大会では和気あいあい、共に汗を流し、その後の芸術競演でチマ・チョゴリに身を包み歌い、民族打楽器を使ったサムルノリを披露するなど、この日のために練習してきた成果をいかんなく発揮した。浜辺(島尾海水浴場)での焼肉パーティーでは七輪を囲み、自己紹介を行うなど話に花を咲かせた。

 また、東京朝鮮歌舞団による公演が終盤にさしかかった頃、生徒らは手をつないで輪になり、見よう見まねのオッケチュムを踊りながら、民族の血を互いに確かめ合った。

 この日のラストをかざったのはキャンプファイヤーを囲んでのフォークダンス。男子は照れ笑いをし、女子ははにかみながらも自然な様子で楽しむ姿はなごやかで微笑ましかった。

自分みつめた「サマーセミナー」

芸術競演大会での一幕

 マダン実行委員長の徐麻弥さん(21、留学同中四国)のあいさつで開講した2日目の「サマーセミナー」。

 演劇「狂風」は劇団タルオルムの金民樹代表が「この日のために準備した」という、済州島4.3事件を題材にした一人芝居である。金代表の迫力のある芝居に生徒らは耳をとぎすまし、涙した。

 演劇後、京都中高の韓戌蓮教員が「朝鮮現代100年史の歴史的教訓と祖国統一について」と題して講演。生徒らはペンを走らせ、感銘を受けていた。

 夜の班討論では、個人の悩みから在日との関わり方、ウリハッキョについて、祖国統一について、これからの生きかたについてなど幅広い議論がなされた。

 「自分たちにできることはたくさんある。最初の一歩を大事にしたい」「昨年祖国を訪問したときに言葉が通じ、ウリハッキョに入れてくれた父母へのありがたみを感じた。言葉だけでも後世に伝えていくことが、在日としてできることのひとつだと思っている」

 最終日には、パネルディスカッション「朝鮮人としてカッコよく生きるには?」が催された。

 その後の班討論では、「自分の考えを曲げた社会順応はかっこ悪い。常日頃から自分に誠実でありたい」「在日の中に自分がいて常に在日としての『芯』を持ち、ごまかさない生き方をしていかなくてはならない」などの意見が聞かれた。

「民族、祖国とどう向き合うか」

幅広い議論がなされた班討論

 国籍問題について議論したという呉翔佑さん(21、留学同東京)は、今回のマダンが最初で最後の参加となる。「在日の友達が初めてできた。実は自分も帰化を考えていた。討論では『それはちょっと違うだろ』と返された。彼らは国籍だけは守っていくと言っていた。帰化について考えるきっかけになった。今回、マダンでの出来事を参考にこれからの生き方について考えたい」。

 留学同中央の趙斗城委員長は3日間を振り返った閉講式で、「留学同60周年記念ということで今回のマダンが在日朝鮮人運動のひとつとして位置づけられた。その中にいる自分という存在が何かということを想像してほしい。また民族、祖国とどう向き合うかを考えてほしい。すでに小さな範囲で実現されている統一をわれわれがさらに広げていこう」とあいさつした。

 参加者にとって「これからどう生きていくのか」という議題を真剣に考えた3日間だった。「60祭」では交流、「サマーセミナー」では在日朝鮮人としての自分を見つめた、そんな今年の「マダン」だった。(李東浩記者)

[朝鮮新報 2005.8.11]