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愛知・岐阜で「ムジゲ会」全国交流会 楽しみや悩み共有し交流

 同胞障害者の家族たちのネットワークグループ「ムジゲ会」が今年、結成10周年を迎える。それを記念して、8月21〜23日にかけて名古屋(22、23の両日は岐阜県養老郡)でムジゲ交流会が行われる。交流会やハイキング、父母懇談会を通じて同胞障害者と障害児を持つ家族のネットワークを広げようというものだ。22日には在日同胞福祉連絡会第3回総会も行われる。

「みんなでつなぐかけ橋を」

同胞障害者たちを対象に結成された音楽サークル「Tutti(トゥッティ)」の練習風景

 同胞の中にも当然、障害を持って生まれた子どもたちがいる。多くの家庭では、子どもを日本の施設に入れるか、家に閉じこもってしまい、同胞社会に溶け込めないでいた。

 しかし、子どもに民族と触れ合う機会、同胞と知り合う場を与え立派な朝鮮人に育てたいという親の願いは共通だ。

 「ムジゲ会」の発起人であり代表の申桃順さんは、次男を出産した数日後、ダウン症だと告げられた。

 初めは涙が止まらなかったが、「私が泣いたところで変わらない」と思うとすぐにふっきれたという。だが、同時に「同胞の中で自分だけ?」という孤独感もあった。

 次男が入院していたとき、同じ病室に朝鮮名の子どもがいた。母親に声をかけてみると、朝鮮学校の卒業生だとわかった。

 申さんは「他の家庭はどうしているのだろう」と障害児のいる家庭を探し、電話をかけた。そして1995年10月、6人のオモニたちが東京で「お茶飲み」を開いた。互いに自己紹介し、子どもの病状や家庭での悩みを話し合った。これが「ムジゲ会」の原点だ。

 名称には「みんなをつなぐかけ橋を」との思いが込められている。

各地で結成、音楽サークルも

 障害に関する誤った知識から「罪の意識」に悩み、立ち直れない親は少なくない。

 たとえば、ダウン症のほとんどは染色体異常、突然変異による。約1000回の出産に1人の確率で生まれると言われており、その可能性は誰にでもある。「妊娠中の喫煙や風邪薬を飲んだことが原因だ」というのはただの偏見にすぎない。

 だが、偏見が偏見を生み、子どもが障害を持っているから「恥ずかしくて外出できない」という親、障害を認めない親もいるという。

 「自分が外に出たがる性格だから」と明るく話す申さんは、偏見や誤った知識に悩まされないように多くの同胞に知らせたいと考え、ネットワーク作りを始めた。

 「お茶飲み」から始まった同胞障害者たちの家族の輪は、千葉、愛知、大阪、兵庫、広島、山口へと広がり、互いの楽しみと悩みを分かち合ってきた。長野や北海道での全国交流会など、さまざまな行事を通じて交流も行った。現在、会員は約90家族におよぶ。

 2001年に長野で開催された全国交流会では、同胞障害児のための音楽活動を始めようという提案があった。翌年4月には東京で音楽サークル「Tutti」の初練習が行われ、以降朝鮮大学校の学生ボランティアたちの協力のもと、月に1度練習を行い公演も披露した。

 「子どもたちは民族楽器を手にすると顔が変わる。見せたことのない表情になる」と驚いた経験を語る申さん。「今後もムジゲの親ぼく会的な性格は変わらない。さらにネットワークを広げていきたい」と語る。障害者の自立、そのための職探しが課題だという。

福祉連絡会総会 同胞福祉ネットワーク作りの基礎を

在日同胞福祉連絡会 「ムジゲ会」全国交流会

[朝鮮新報 2005.7.28]