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愛知中高オモニ会「第2回親達の座談会」 ウリマルは在日の財産

「子どもの世界広げる提示を」

 愛知朝鮮中高級学校(愛知県豊明市)オモニ会主催の「第2回進学? 就職? 親達の座談会」が10日、イオ信用組合名古屋支店の講堂で行われた。同校に生徒を送る東海各地のオモニたちをはじめ教員、卒業生ら約130人が参加。京都のオモニたちも駆けつけた。参加者たちは講師らの話に耳を傾け、子どもたちの進路問題と親の役割について考えた。

「親としてできること」

東京からかけつけた講師の辺貞姫さん

 昨年は、愛知中高を経て各方面で活躍する卒業生たちの話を聞いたが、今回は「親として子に何ができるか、何をしなければいけないか」に焦点をあてた。

 講師として招かれた辺貞姫さんは、3人の子どもを育てながら国士舘大学大学院で心理学を研究し、東京などで福祉ボランティアや就職、教育の相談を行っている。

 社会と子どもの成長過程、「親としてできること」について心理学的視点から解説した辺さんは、「子どものアイデンティティは家族、地域、文化と切り離して考えられない。バックグラウンドを社会の中に位置づけることが大事」と述べた。

 また、愛知中高の生徒たちを対象に行ったアンケート結果について報告し、多くのオモニたちの口癖が「早く…しなさい」という形式だとし、「親は子どもの人生の脇役であるはず。子どもの世界(視野)を広げる提示をしてあげてほしい」と述べた。

「民族と接する機会も」

「第2回親達の座談会」(10日、名古屋)

 座談会では2人のパネラーが発言した。

 愛知中高と静岡初中の教育会副会長を務める李太龍さんは、3人の子どもを朝鮮学校に送り育てあげた経験について話した。3人の子どもたちは現在、中国留学、英国留学、朝鮮大学校進学とそれぞれ本人が選んだ道を歩んでいる。李さんは、「民族と接する機会を与えてあげることも大事。子どもが自分で考えて(進路を)決められるようにいろんな選択肢を与えてあげてほしい」と述べた。

 高3の時期、進学問題でオモニに励まされ助けられたという南山大学外国語学部(アジア学科4年)の崔貞純さんは、オモニが「全面的にバックアップする。がんばろう」と言ってくれたことが大きな力になったという。崔さんは「ウリハッキョでウリマルを学べてよかった。在日として生まれたことが財産になっている」と述べた。

参加したオモニたちは講師の話に熱心に耳を傾けていた

 座談会ではまた、愛知中高の担当教員が同校の教育方針や卒業生の進路状況について説明した。

 同校高級部の昨年度卒業生は7割近くが進学した。朝鮮大学校に進学する生徒の割合がここ数年、増加傾向にあり、名古屋大、慶應大、早稲田大などへの進学実績もある。福祉、調理、コンピュータ、理美容、外国語など、専門学校進学者が選ぶ道も多岐にわたる。

 座談会には、愛知中高を卒業後、中国に留学し北京大学に入学した李志善さん(李太龍さんの長男)も飛び入りで参加した。現地の朝鮮大使館を訪れたときや南朝鮮の留学生と話すときに、ウリマルを話せたことが大きかったと語る。「在日の自分だからできることがある。そのためにがんばりたい」と語る。

「道、開けてる」

 参加したオモニたちは「ウリハッキョの卒業生にもいろいろと道が開けてきている」(名古屋在住)、「民族教育を通じて得たものをどこに活かすかが大切だ」(東春在住)と感想を述べた。

 座談会は、オモニたちに大きな影響を与えている。昨年、あるオモニは、中級部を卒業する子どもを日本の学校へ送ろうとしたが、いろいろな話を聞いたうえで朝高に送った。子どもは学校生活を楽しんでいるという。オモニたちの思いや悩みはさまざまだが、子育てに注ぐ情熱は普遍だ。

 愛知中高オモニ会の金英玉会長は、「進路の問題をきっかけにして『オモニとして子どもをどう育てるか』を考えてほしい。みんなで協力し合って子どもを育てていきたい」と語る。(李泰鎬記者)

[朝鮮新報 2005.7.26]