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宋神道さんの記録映画

 1993年4月、在日の「慰安婦」被害者として東京地裁に提訴した宋神道さんの10余年間の姿を集めた記録映画製作スタート集会が18日、東京で行われた。

 「戦争は2度とやってはいけない。そのために謝罪しろと言っているんだ」

 集会であいさつした宋さんはこのように述べながら、戦争のおぞましさと日本政府の不誠実な態度に対する怒りを訴えた。

 「オレたちは、捕虜の首をはねるところも全部見せられた。戦争になれば、男も女も引っ張られるから、枕を高くして眠れない。一人の人間の人生をあべこべにしてしまうのが戦争。刀で切られて鉄砲で撃たれるのが戦争。オレは毎日殴られたせいで、耳がよく聞こえない。今はひとりで住んでいるから、寂しくて、悲しくて死んでしまいたい時もある。でも、このままじゃ悔しくて死ねない」

 また、「朝鮮が日本にわらわれないようにして、自分の国を自分で守れば問題はない。今、北と南に分かれているが、日本の悪い奴らはそれを見てわらっている。だから、一日も早く仲良くなってもらいたい」とも述べた。

 一方、記録映画の製作に携わっている安海龍監督は、「この映画は、宋ハルモニの話だけではなく、ハルモニを支えてきた周りの人たちの姿も描いている。映画を通じて、私たちが今後何のために、何をすべきかを考えるきっかけとなれば」とあいさつした。

 宋さんのような「慰安婦」被害者や強制連行、強制労働被害者は北と南にもいるが、高齢と過去に受けた虐待のために一人、二人とこの世を去っている。

 彼らの体験を伝え、日本政府が真の謝罪と補償をするよう働きかけていくうえで、今回の記録映画は大きな役割を果たすだろう。

 それとともに、若い世代が彼らの体験や思いを受け継ぎ、決して風化させないための地道な活動を行うことが大切だと思った。(松)

[朝鮮新報 2005.6.21]