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人権協会第10回女性学習会 同胞女性の生きがたさテーマに

 人権協会男女平等推進部会が主催する第10回同胞女性学習会が8日、同胞法律・相談センター(東京都台東区)で行われた。今回は「法律生活相談からみた在日同胞女性の生きがたさ」がテーマ。

 同センターを訪ねる相談者のうち4割は女性だが、「女」であるがゆえの不利益をこうむっているケースが多いという。講師を務めた同センター事務局長の金静寅さんは、実際の相談を例に挙げながら詳しく説明していった。

 例えば離婚の場合。子どもの養育は妻に任せても、親権だけは絶対に譲らないという男性が比較的多いという。夫が日本人の場合、激しい暴力や「朝鮮人のくせに」などの暴言が繰り返される場合が多い。しかし夫の暴力などは「家庭の恥」であるととらえる考え方がまだまだ根強いため、被害女性が他に助けを求めたり、家を出たりすることができない場合が多い。職場でセクシャルハラスメントを受けた場合も同じで裁判をなかなか起こせない。「このような問題は根底に性差別と力による支配、被支配の関係がある」と金さんは分析する。

 また、離婚後に一人で子どもを育てるにも同胞女性は負担が多いという。その原因には、根強い民族差別の中、同胞が日本社会の中で就職先を見つけるのがまだまだ困難なうえ、男女の賃金格差もある。また母子家庭であることを理由にした入居差別などもある。

 金さんは、現在在日同胞女性が生きている場所は、日本社会での民族差別、性差別に加え、同胞コミュニティーの中の女性差別という複合差別の中にあると話す。また儒教的な文化、家父長制までも「民族の伝統」「民族性」として継承されてきたこともあるという。悩みを抱える同胞女性が相談し、癒される場所が少ないのも現状だ。

 人権協会男女平等推進部会では「同胞女性である」という共通点に基づく広範なネットワーク作り、同胞社会の中で性差別の解消に向けた啓発にこれからも力を入れていくそうだ。(麗)

[朝鮮新報 2005.6.15]