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〈ざいにち発コリアン社会〉 全国高校ゴルフ選手権に初出場 神戸朝高崔廣榮選手 「将来の夢はトッププロ」

 全国の高校生らがゴルフの頂点を競い合う全国高等学校ゴルフ選手権大会(主催=全国高等学校ゴルフ連盟など)。25回目となる今年度の春季大会が3月28〜30日、滋賀県大津市の瀬田ゴルフコースで行われ、神戸朝高3年の崔廣榮選手が関西地区大会を勝ち抜き、同大会に初出場した。成績は150人中139位と振るわなかったが、「高級部最後となる夏の全国大会へ向けてしっかり練習して、結果を残したい」と意気込みを見せた。

強豪ひしめく全国大会

崔廣榮選手

 同大会は男子は東コース、女子は西コースに分かれ、2日間競技の36ホール・ストロークプレーで行われる。大会には幼いころからゴルフの英才教育を受けた実力者が集い、大手ゴルフメーカーの関係者や大学の指導教員などが視察に訪れる。実力のある者はここから大学への推薦入学を果たすなどして、プロへの道を確かなものとしていく。

 女子プロゴルファーの宮里藍選手も01、02年同夏季大会を連覇するなど、現役で活躍するトッププロたちも出場したことのある権威ある大会だ。

 強豪ひしめく全国大会に初出場した崔選手は開口一番、「全国という舞台は、本当にレベルが高かったというのが率直な気持ち」と感想を述べた。崔選手は、約300人の選手らが集う関西地区大会で17位の成績を収め全国大会出場へこぎつけた。

 「この時ばかりは本当にうれしかった」

 だが、全国大会は関西地区大会とまったく雰囲気が違っていたという。

 「初めての参加で未知数な部分も多かったけど、周りの日本人選手に絶対に負けたくなかった。神戸朝高の看板を背負っているし、在日がいるっていうのをアピールしたいという気持ちで臨んだ」。しかし、力及ばず順位は139位。

 それでも大好きなゴルフを思う存分できたといううれしさから、「今回はとてもいい経験になった。夏の大会で雪辱を果たしたい」とほほ笑んだ。

アボジの影響で

第40回在日本朝鮮人中央ゴルフ大会に出場した時の崔廣榮さん(昨年10月)

 ゴルフを始めたのは中級部2年の時。サッカーの試合で腕を骨折して、1カ月ほどブランクができたのがゴルフを始めたきっかけだった。

 「実は初級部の頃から興味はあった。アボジがよくテレビを見ていて、PGAツアーで活躍する選手にとても憧れた。南アフリカのアーニー・エルス選手が優勝する姿を見てとても感動したのを覚えている。どれもこれもアボジの影響ですけど」

 アボジの崔英俊さん(46)にゴルフがしたいと打ち明けると、「普通にやってみろ」とすぐに承諾。練習について行き、打ちっぱなしやコースも回りながら技術を一つひとつ学んでいった。アボジと知り合いのプロゴルファーにも指導を受けながら一人黙々と練習に励んだ。

 中2から高1までの3年間、毎夜欠かさず打ちっぱなしの練習、土・日はコースを回った。ジムでの筋力トレーニングやランニングも欠かさず行った。

 中1の夏から全国中学校選手権予選に出場した。それから毎年春、夏にかけて出場するも予選落ち。高1の春、夏も全国高校選手権予選に参加したが、全国大会出場への道のりは遠かった。

 しかし、努力が実り3度目の正直で今年度、全国大会出場にこぎつけた。「今までの経験と練習の成果をしっかり出せた」。

 神戸朝高では美術部に所属。学業とクラブ活動を両立させながら大学受験のため塾にも通う。そんな忙しい中でも週5回の夜間練習をこなす。

「後輩が出てくれば」

 朝鮮高級学校にゴルフ部はなく、全国大会出場を目指す生徒は皆無に等しい。「うれしさや悩みを分かち合う仲間がいないのは寂しい」と正直な気持ちを打ち明ける。それでも続けるのは、「ゴルフが楽しいから」。

 「サッカー、ラグビーなどの派手さと違って、ゴルフって地味に見えると思うんですよ。でも実はとても奥が深い。冷静だけど駆け引きの連続。まさにゴルフ場と自分との戦いです」とその魅力を語る。

 また、「打った瞬間、ボールが芯に当たる感触がとても気持ちいい。ゴルフって、やっていくうちに上達するのがよくわかるからおもしろい」と無邪気な笑顔も見せた。

 日本だけでもプロは約3000人。その中で生活していけるのはたった30人ほどだという。そんな厳しい世界と知りつつも、将来の夢は「トッププロになること。とにかくゴルフに携わっていきたい」と話す。

 「ゴルフの楽しさをもっと多くの同胞らに知ってもらいたい。自分が活躍することでゴルフをやりたいという後輩が出てきてくれればとてもうれしい」

 次の目標は高級部最後の夏の全国選手権出場。「やるからには上位に食い込みたい。必ずいい結果を出したい」(金明c記者)

[朝鮮新報 2005.4.16]