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「東京第2支援3.27トーク&コンサート」 民族教育権奪う権利ない

都側の不当性、広くアピール

 2003年12月、東京都は、江東区枝川の東京朝鮮第2初級学校に対し、校舎の一部を取り壊して立ち退くこと、4億円の地代相当金を支払うよう求める裁判を起こした。昨年2月から始まり、口頭弁論はすでに6回を数える。都は1972年、この土地を学校用地として使用させる20年間の無償貸与計画を結んだ。契約期間が過ぎた後も、都は学校と交渉を続けてきた。都の訴訟はこうした経緯をまったく無視するもので、現に学校用地として使われている土地の明け渡しを地方自治体が求めること自体、きわめて異常といえる。650余人が集まり3月27日に同校で開かれた「とりあげないでわたしの学校 枝川朝鮮学校支援3.27トーク&コンサート」は、同胞の子どもたちから民族教育を受ける権利を奪おうとする石原都知事と都側の行為の不当性をアピールする大きな機会となった。

「リムジン江」合唱

大きな拍手を浴びた東京第2生徒たちの公演

 この日のトーク&コンサート出演者はシンガー・ソングライターの朴保さん、映画プロデューサーの李鳳宇さん、東京重唱サークル「アエ」、日本で活動する韓国人歌手の鄭美英さん、歌手の李政美さん、東京朝鮮歌舞団、そして東京第2の子どもたち。運動場での青空コンサートだ。舞台近くに陣取り食い入るように見つめる人や、同校オモニ会が準備した売店で購入した朝鮮料理と生ビールに舌鼓を打ちながら見物する人など、スタイルもさまざまだ。

 コンサートは朴さんの歌で幕を開けた。「アンニョンハセヨ!」。力強い声で客席に呼びかける。「私は静岡出身だが、そこにも民族学校があった。1世の人たちが自分たちの手で作った学校だ。血と汗と涙で作ってきた朝鮮学校をそんなに簡単に引き渡すわけにはいかない」と話すと、場内からは盛大な拍手がわき起こった。「ケンチャナヨ」など4曲を披露した。

 映画「パッチギ!」のエグゼクティブ・プロデューサーでもある李さんは、「朝鮮学校時代の思い出をつづったのが『パッチギ!』だ。朝鮮学校や在日のこと、日本で共生していく仲間をどういう風に作ればいいのかを語ったつもりだ」「今の自分があるのはウリハッキョで学んだから。民族学校が持つパワーだと思う」などと語った。

出演者と場内がひとつになって歌を合唱

 コンサートでひときわ人気を呼んだのが、30、40代の青年商工人たちで構成された重唱サークル「アエ」だ。アイ(朝鮮語で子ども)たちを愛(エ)するという意味が込められており、学校関係の行事にチャリティーで出演することが多い。「僕らの学校」など4曲を披露したあと、客席のアンコールにも快く応えていた。

 鄭美英さんは「ここは第2の故郷のようで、心が温まる。いつまでも残ってほしい。たまに来て歌いたいから」とコメント。

 オリジナル曲を中心にライブ活動を続ける在日2世の李政美さんは、透明な歌声で観客を魅了した。生まれ育った葛飾を歌った「京成線」、朝鮮民謡「ミリャン・アリラン」などを披露したあと、「オギヤデヤ」では船を漕ぐ格好の「オギヤ体操」で、場内を巻き込んだ。

 フィナーレに登場した東京朝鮮歌舞団が「民謡連曲」を歌い出すと、場内のあちこちでオッケチュムに興じる姿が見られた。さまざまな人種が共生することを詠った「世界に一つだけの花」の合唱で、場内の盛り上がりは最高潮に達した。

 最後は「パッチギ!」でも使われた「リムジン江」を全員で合唱した。

共感する人多い

 この日の主役、東京第2の生徒たちは2番目に登場。チャンゴ演奏、重唱や舞踊、合唱などを披露し、惜しみない拍手を浴びていた。

 実行委員の中村まさ子江東区議は「日本が加入している国際人権規約も子どもの権利条約も、在日の子どもたちが民族教育を受ける権利があると定めている。東京都のやり方はこれに逆行し、子どもたちの権利を脅かすもの」だとしながら、「今回、北海道や金沢などからも問い合わせがあった。思いのほか共感してくれる人が多いと確信した」と述べた。

 この日は弁護団からの裁判経緯の報告も行われた。弁護団の一人、師岡康子弁護士は「日本人として非常に恥ずかしい」と発言。張學錬弁護士も「東京都は逃げ回っており、早く時が過ぎるのを待っている。しかし、もう一押し、二押しで新しい展開も出てくる」と話し、参加者らを力づけた。

 子どものサッカークラブを通じて東京第2の存在を知ったという早川徹さん(50)は、「在日の人たちにいじわるしている。ここを取り上げて、この子どもたちをどこに行かせようというのか」という素朴な思いから、東京第2を守る署名にも参加した。

「枝川朝鮮学校支援」都民基金

 連絡先=〒160−0023東京都新宿区西新宿7−5−3斉藤ビル4階 みどり共同法律事務所気付(張/師岡)

 TEL=03・5925・2831
 FAX=03・5330・8886

 送金先=UFJ銀行新宿新都心支店(普)4764225 口座名 枝川朝鮮学校支援都民基金事務局

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[朝鮮新報 2005.4.2]