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〈同胞法律・生活センターP〉 離婚全般@

家裁でも相当な時間

 現在、離婚するカップルは年々増加傾向にあると言われています。「できちゃった婚」が急増する中、この頃あまり耳にすることがなくなったかもしれない「成田離婚」、そして他人事ではない「熟年離婚」など、年代や婚姻期間の長短を超えて、さまざまな理由から離婚をする人は多いようです。

 日本・厚生労働省や内閣府の統計によると、日本人の離婚率(人口1000人あたりの離婚者数)は、1990年代前半より急上昇し、2003年には過去最高の2.3を記録。その翌年の2004年は少し下がって2.27となっています。この数字は、初婚者の離婚割合でみると実に4組に1組のカップルが離婚しているということになります。また、先進諸国と比較すると、アメリカ、ロシア、イギリス、オーストラリア、カナダについで多く、ちなみにアメリカの離婚率は日本の2倍となっています。韓国でもここ10年ほどの間に離婚率が急上昇しており、驚いたことに、現在では世界第1位のアメリカと同様、2組に1組が離婚しているとのことです。

 離婚を婚姻期間の年数と合わせてみると、婚姻期間が5年未満の20代の離婚率が高く、次いで30代となっている一方で、婚姻期間が15年を超える40代の離婚率も高いのが特徴のようです。

 私たち在日同胞もこのような状況と無関係とは言えないでしょう。同胞社会でも離婚するカップルは増えています。同胞法律・生活センターに寄せられるさまざまな相談の中で、離婚に関するものは毎月上位3〜5位を占めており、在日同胞にとっても離婚は特殊な出来事ではなくなりつつあるのかもしれません。

 離婚に関する相談では、離婚することについて夫、妻お互いに合意はしているが、子の親権や監護、養育費、あるいは子との面会交渉の方法などでもめているという内容のものが一般的です。相談者は女性である場合がほとんどですが、話を聞いていると、妻には子を引き取って育てる(子の監護権)権利は認めても、親権だけは絶対に譲らないと主張する夫が多く、またこれに対し、夫には子を会わせたくないし、子の姓も外国人登録上の本籍地もすべて変更してしまいたいと考える妻が多いようです。なかなか折り合いがつかず、家庭裁判所の調停でも相当な時間がかかることも少なくありません。「センター」事務局としても、何よりも子の福祉を最優先に考えてお互いに歩み寄ってもらいたいと思うのですが、こればかりは「同胞同士の円満解決」は難しいのが現状のようです。

夫からの暴力も

 離婚の原因については、浮気、借金、ギャンブル、嫁姑問題、性格の不一致…などさまざまですが、直接の原因が何であれ、妻が夫から暴力を受けている場合が少なからずあります。もちろん、離婚の原因が夫の暴力である場合もありますが、離婚するあるいはしようとする妻の多くが、回数に関わらず、夫から殴る、蹴る、物を投げつけられる、といった暴力を受けたことがあるのです。

 このような状況を自分の問題として捉えたり、また最も親密な存在である夫からの暴力となると、非常に想像しづらくなかなか理解ができないかもしれません。しかし、数年前に内閣府が行った「男女間における暴力に関する調査」によると、20人に1人の女性が生命の危険を感じるほどのひどい暴力を受けた経験があること、また警察統計によると、殺害される女性の3割が夫または恋人から殺されているということが明らかになっています。これらの数字から、女性にとって、夫からの暴力の問題は決して特別でかわいそうな女性の問題ではなく、だれにでもありがちな身近な問題であると言えるでしょう。実際のところ、「センター」にも、長年にわたり夫からの暴力に苦しめられ、なんとか逃れたい、離婚できるか…という非常に深刻な相談が増えています。「夫の暴力」の問題は、先に述べた子の親権と同様、「同胞同士の円満解決」など絶対に不可能で、相談を受ける側としても相談者の安全を第一として慎重な対応が求められる非常に難しい相談です。

 次回は、「夫からの暴力」を取り上げます。

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[朝鮮新報 2005.3.29]