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視聴率にとらわれない報道を

 W杯アジア最終予選の初戦(9日、埼玉スタジアム2002)で、日本代表と対戦した朝鮮代表。惜しくも勝ち点を逃したが、最後まで勝利にこだわり、ボールに食らいついていく姿に多くの同胞が感動した。

 試合前の合宿から多くの報道陣が朝鮮代表の一挙手一投足に注目していた。試合前々日の公開練習だけでも約250人の報道関係者が練習場に駆けつけた。

 各社の力の入れようはすさまじかった。連日、特集を組み、日本代表よりも長い時間を割いて放送されることもしばしば。行き過ぎた取材が問題になったが、安英学選手をはじめとした朝鮮代表選手たちのインタビューなど、おかげで選手たちの様子を逐一うかがうことができた。

 試合のテレビ放送を行ったテレビ朝日は、2001年から08年までにアジアサッカー連盟が主催する全試合(オリンピック予選、女子、フットサルなどの大会を含む)の放映権を90億円とも言われる金額で獲得していたという。生中継の平均視聴率47.2%(関東地区)は、開局史上最高視聴率となり、関係者は胸をなでおろした。

 しかし、一方で気になることもある。

 昨年12月に判明した東京・祐天寺の遺骨問題については、あまり取り上げられなかった。あるニュース番組では報道されたものの、拉致被害者の遺骨問題に数十分割いたのに対し、わずか数分の扱い。キャスターのコメントもなかった。

 埼玉の金乗院では、131柱の朝鮮人の遺骨がわずか16個の箱に、ゴミのように入れられていたことが判明したが、日本の報道各社の追悼会への参加は数社のみ。テレビではまったく報じられていない。

 視聴率優先なのか、「政治的圧力」なのか…。自国が犯した「特大級の犯罪」がもたらした悲劇に目を向け、政府の不誠実な対応を正す姿勢があってこそ、日朝戦関連の報道内容も厚みが増していたはずだ。(泰)

[朝鮮新報 2005.3.2]