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平壌での誕生日

 風邪をひいているにもかかわらず連れて行かれ翌日から3日間寝込む、誘ってくれた上司2人が酒に酔ってケンカを始める、焼肉の鉄板で自分の手を焼く…。

 これまで「誕生日パーティー」では、いい思い出というものがほとんどない。そのため、ここ数年は誕生日だということを誰にも知らせず、一人静かに過ごしてきた。

 平壌で迎えた今年の誕生日も、例年のごとく誰にも知らせることなく静かに過ごそうと思っていたが、ホテルに宿泊する際にパスポートを提出するため、そこに記載された生年月日がおのずと広まってしまった。とは言うものの、それはある程度予測していたことなので、誕生日当日はこれでもかというほど取材予定を入れ、極力「パーティー」ができないように日程を組んだ。ただ昼食だけは、平壌支局の現地スタッフらがどうしてもということで、清流館でささやかな宴会を開いてくれることになっていた。

 当日の朝、ホテルのレストランに行くと、3人のウェイトレスが「誕生日おめでとうございます」と言いながら、一輪の花と鳥の丸焼き、大好物のタンコギ(犬肉)を持ってきてくれた。昼、夜とも「外食」になるだろうことを事前に「察知」して、朝から豪勢な食事を準備したという。タンコギは普段、レストランのメニューにはないが、この日のためにわざわざ仕入れてくれたそうだ。

 ホテル内で行き交う知り合いの従業員たちも、「誕生日おめでとう」と声を掛けてくれ、ささやかなプレゼントもくれた。プレゼントは高価なものではないが、気持ちがこもっていてとてもうれしかった。

 これまでにない「いい誕生日」に、感慨もひとしおだった。

 ただ、みんなが一様に、とくに女性の従業員らが「おめでとう」の次に、「今年こそは結婚できるように」と釘を刺すのにはやや閉口した。(松)

[朝鮮新報 2005.2.1]