同胞法律・生活センター連続講座「知って得する暮らしの法律・パート2」−第4回目「暮らしの中の節税対策」 |
NPO法人同胞法律・生活センター主催の連続講座「在日コリアンのための知って得する暮らしの法律・パート2」の第4回目が22日、同センター(東京都台東区)で行われた。今回のテーマは「暮らしの中の節税対策−節税の方法は必ずある!」。主に、一般のサラリーマン家庭を対象にした税金の基本的な問題と節税について語られた。講師は税理士の権淑香さん。 講座では、所得税と所得控除についての基本的な解説が行われた。また、医療費控除やマイホーム購入時の節税対策などについても言及された。年初予定の結婚や出産を年末に行う方が有利だという点も指摘された。 所得税額の算出
働いて収入を得た人すべてが払う所得税は、個人の所得に対してかかる税金である。所得は、収入から経費を差し引いた利益であり、そこから各種所得控除を差し引いた残額に対して課税される。所得税は源泉徴収の対象となっている。 サラリーマンの給料は給与所得と言う。給与所得とは、勤務先の会社との雇用契約に基づいて支給される労務の対価としての金銭もしくは経済的利益である。「4000円を超える宿日直手当の4000円を超える部分」「社宅の自己負担額が通常の賃貸料相当額の半額未満である場合のその差額」なども課税対象となる。「通勤手当月額10万円までの金額」「残業や宿日直の際の食事の支給」などは非課税である。 所得税では、給与収入に応じた概算経費(給料を得るための経費)を控除する給与所得控除が行われる。 一般のサラリーマンは、所得税、住民税のほかに社会保険料なども負担している。社会保険と雇用保険は、事業主と本人の双方が負担し、労災保険は会社が負担する。 所得税額は、「課税所得金額×税率(4段階)」で算出する。これに控除額を差し引いたものが税額となる。 医療費控除に注目
サラリーマンは、源泉徴収と年末調整という一連の手続きで所得税の課税関係が完了している場合、確定申告する必要がない。だが、確定申告することによって税金が戻ってくる場合もある。年10万円以上の医療費を負担した場合、寄付金を支出した場合、ローンでマイホームを購入した場合など。 さらに、多くの場合、配偶者控除、生命保険料控除などの所得控除が年末調整に反映され、税金が戻ってくる。 所得控除額が大きいほど課税所得が少なくなり、したがって税額も小さくなる。収入金額が同一であっても、より多くの支出を負担している場合や、より多くの家族を扶養している場合、本人もしくは配偶者、扶養家族が障害者である場合などは、税負担が軽減される。基礎控除はすべての納税者に一律、無条件に適用される。 講座で最も注目されたのは「医療費控除」(計算方法は図1)だった。
医療費としての判定(図2)には、診療費用、医薬品購入費用、医療器具購入費用、通院費などが対象となる。適用を受けるにあたっては、確定申告が必要となり、医療費の支出を証明しなければならない。支出の事実を明らかにする領収書などは、必ず保管しておくようにしたい。
結婚、出産でも 講座では、マイホームの取得などの場合における節税についても言及された。 マイホームを取得した場合、一定の条件を満たせば登録免許税の税率が引き下げられる特例がある。住宅の取得後1年以内に登記すること、取得した住宅の床面積が50平方メートル以上であること、市区町村長の発行する専用住宅証明書を提出することなど。 不動産取得税は、都道府県が課税する地方税で、土地や家屋を売買や贈与で取得したとき、あるいは家屋を新築した際に課税される。税率は原則4%となっているが、来年の3月末までは3%に軽減されている。 不動産取得のための資金調達においては、親からの贈与が考えられる。その際、贈与税が課税されるが、相続時に清算することを前提に、一定額まで非課税とする制度もある。 また、マイホームを共有名義にすることで節税できる場合もある。資金の負担割合と有利不利を考慮する必要がある。 結婚と出産のタイミングによっても節税ができる。 結婚や出産は家族構成の変化を意味し、所得控除の額も変化する。控除の適否は、その年の12月31日現在の状況で判定されるので、12月の結婚や出産でも、その年分の控除が可能となっている。したがって、年初よりも年末の方が有利と言える。(李泰鎬記者) ※次回は2月19日(土)午後2時から「雇用をめぐるトラブルを回避するためには」を行う。 [朝鮮新報 2005.1.25] |