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〈同胞法律・生活センターI〉 在留資格@

 「在留資格」とはなんでしょうか?

 海外に行きたいと思った際、外国行きの飛行機の切符を買えばいけるでしょうか? 多分到着する外国の飛行場までは行けるかもしれません。しかし、パスポートとビザ(査証)がなければ上陸(入国)させてもらえません。

 ご存じのとおり、パスポートとは本人が属する国籍(自国)の政府が発行してくれるもので、「わが国の国民であるので便宜を図ってほしい」というお願いの証明書です。共和国旅券の場合、最寄りの朝鮮総連支部を通して取得できます。

 ビザとは入国したい相手国の政府が「入国を認める」という許可証です。ですから、ビザは入国したい国の機関(大使館等)に発給の申請をする事になります。しかし発給申請をすれば許可が出るとは限りません。一番簡単に発給されるのは観光旅行の場合でしょう。

 現在では入国した後、出国するまでの間の活動(行動)に条件を付け入国を認めるのが普通です。入国後の許された活動の内容と出国までの在留期間をセットした条件が「在留資格」です。

 「在留資格」の内容の決定は国家主権の問題とされていますので、国家ごとに違います。移民まで許容している国があるかと思えば、在留資格の壁を高く設定して外国人の入国を厳しく制限している国もあります。

 言い換えれば、「在留資格」はその国の理念、国際情勢、政治、経済、歴史、国民性など諸々の要素で構成される「国益」によって決められることになります。

日本国の在留資格とは

 さて私たち在日同胞は日本に居住している関係上、日本国の「在留資格」を見ることにしましょう。

 在留資格は「出入国管理及び難民認定法(入管法)」で規定されています。ちょっと横道にそれますが、どうも私たち在日同胞は「外国人登録法」に比べ「入管法」に対しては関心と理解が低いようです。たとえば、再入国許可証を仮パスと呼び、パスポートみたいに感じている人もいるのではないでしょうか。

 再入国許可証は日本国に在留している外国人が、何らかの事情で一時母国などに帰り残っている在留期間内に入国を希望する場合、日本人の帰国の際の手続きに似たような簡単な手続き(入国審査省略)で再入国を認める許可証です。パスポートとは意味がまったく違います。

 しかし、特別永住資格の在日同胞の場合、在留期間に制限がありませんので、入国管理局に再入国許可申請をすれば許可されるのが普通です。しかも許可期間が4年間というのもありますので、パスポートと誤解するかもしれません。

 また、在日同胞のほとんどが日本生まれなので、わざわざ日本に入国する必要もなかったため、当然に入国手続は無関係でした。また1945年から70年代までは日本から出国し再入国する事も規制されていたため、余計疎遠になってしまったと考えられます。

 さて、「在留資格」の内容は、前述したように「国益」によって決められます。

 日本の外国人の出入国に対する国益とは、@日本の国益にとって有益と認める外国人は円滑に受け入れる。A日本の国家にとって有害と認める外国人は入国自体認めない。もし入国、在留しているならば排除する。B許可した在留期間内に必ず出国させる。移住、移民は受け付けない。

 言い換えると、「有益な外国人は受け入れ、その活力を利用して日本国の発展を図る」「有害な外国人は受け入れない。テロ分子、犯罪者はもちろん、日本国に不利益をもたらす者や貧困者も排除する。日本人の仕事を奪う単純労働者や不法就労者等を排除して、日本国の安寧と社会の安全と秩序を守る」「日本国民の単一民族、同質性を維持する」と言えます。

 また、「在留資格」はその時々の国益の変化に対応するため、条文の解釈が絶えず変わるという特徴を持っているだけでなく、その運用もよく変化します。例えば、昨日までお目こぼしされていた事が今日は急に取り締まりがきつくなることも、いつものことです。

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[朝鮮新報 2005.1.11]