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「ポジャギ展で」

 ポジャギ。柔らかに光を通す布の質感と配色の妙、そして針目の美しさ…。以前、雑誌で目にした時も、昨年神戸でポジャギ展を見たときも、家に飾ったらどんなにすてきだろう、そんな思いにかられていた。

 この夏、わが家から程近い所で李玉禮先生のポジャギ展があり、子どもたちを連れて見に行った。小さな美術館なのでちょうど目の高さで間近に作品を見ることができた。

 李玉禮先生は、昔からわが民族が母から子へと、そしてその子へ受け継いできたポジャギ作りという手仕事を、日本で育つ後代へ伝えていくべきだと尽力されている。

 朝鮮民族の生活習慣の中で、衣服を包んだり、布団を包んだり、用意した食卓を覆ったりしたのが、それぞれの用途に応じて作られた「イブルポ(布団用ポジャギ)」や「サンボ(食卓用ポジャギ)」などだ。大きな反物をそのまま使うのは贅沢で、チョゴリをあつらえたり、布団を縫う時に出るはぎれを少しもむだにせず、精巧に縫い合わせポジャギとして使ってきた。つつましさの中にも美しさを尊重した、祖先の知恵だ。

 手にとりながらポジャギの一枚一枚を見ていると、その知恵の価値をとても大切にされている李玉禮先生の思いが伝わってくるようだった。美術館の館長さんはポジャギについて知るほどに、ポジャギは美術作品のように飾るものではないということを強く思うと、話してくれた。

 美術館を出る頃には、私の頭の中にポジャギを家に飾るイメージは消えて、チクチクとポジャギを縫ってみたいという思いがいっぱいになっていた。(李友子、会社員)

[朝鮮新報 2004.9.13]