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増える生活、減る生活

 学校を卒業して10年も20年も経つと一段とたくましくなる生活力に比例するかのように、理数系をはじめ、その頃に学んだものは全く覚えのないモノになっていく。

 息子もあと1年と数カ月で入学だ。「オンマ、宿題教えて」。そんな時にテキパキと解りやすく説明しながら上手に教えてあげられたらなんとすてきだろう。

 そこでカチンコチンになった脳みそを柔らかくするために最近、通勤時間を利用してドリルを始めた。まず手始めに小学校6年用の算数と漢字の読み書きドリルに取り掛かったのだが、いろいろ忘れているものが多い。

 初級部1年だから6年からする必要もないが、なんとなく手に取ってしまった6年生用ドリル…なかなかである。

 漢字の読みは簡単だが、書く方はぼんやり「輪郭」を覚えていてるといった感じだ。

 算数は倍数、約数、分数の足し算、引き算、掛け算、割り算、平均、立方体、そして体積などなど「あー、やったやった」と記憶を辿りながら解いていく。

 昔は足し算と掛け算に比べ引き算と割り算が不得手だったのに今はその不得手だった方の計算式が簡単に解けるのだ。

 一瞬、年を取って頭が良くなったのかと思ったが、よくよく考えると普段の買い物の時のおつりの計算や、どの商品がより安いかの計算をする時に引き算、割り算が活躍するのである。普段、よく使っているから簡単に解けるのだ。

 割ったり、引いたりと減っていくのが身近、普段で、足したり掛けたりと増えるのとは縁遠い生活を送っているという現実を改めて気付かされ、苦笑してしまった。(鄭成玉、会社員)

[朝鮮新報 2004.5.22]