ハナミズキの季節に |
いま、外は新緑がとてもきれいだ。毎朝、新芽が吹き出て、あれよあれよという間にベランダから見る風景はきれいな緑になった。カーテンを開けるのが楽しみである。 この季節、私のお気に入りスポットがある。それは、近所の民家の庭に植えられた、白いハナミズキ。 街路に植わったものに比べれば背はあまり高くなく、真っ白な花がこんもりと咲いていて、あまりの眩しさに恥ずかしくなりそうである。東京ではちょうど今頃咲くので、この風景は、まだ硬いランドセルを背負った新1年生の、飛び跳ねる声と重なってくる。 ハッキョに行った。 誰が来たのかな? と、来客を珍しそうに見に来るのは決まって一年生。 私は誰となくつかまえて、子どもの背丈にまで腰をかがめて声を掛けてみる。 「ネ イルミ ムオシジ?(あなたの名前は)」。 少しはにかみながら、習いたてのウリマルで、返事が返ってくる。「ナン ○○ヤ。(私は○○です)」。…成功! 次。「ミョッサリニ(いくつ)?」「ナン ヨソッサリヤ(6歳です)」。ホウ。大成功! 私は頭を撫でてあげる、次の子にまた質問。「ネ イルミ ムオシジ?」…上手に答えられたウォング、チヒャン、キヨン、キョンチョルたちの目はいっそうキラキラと輝きを増す。 その姿は、私を唸らせる。凛として清々しく、大人よりもずっと豊かで、瑞々しい感性がほとばしるような、眩しさ。私はこの時、この子らがあの白い花ならば、私は花を包んでいる、苞葉になりたいと、ふと思った。(辺貞姫、主婦院生) [朝鮮新報 2004.4.24] |