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「うんちく」

 最近ストレスが溜まってしょうがない。ストレスの原因が仕事なのか、子育てなのか、在日同胞を取り巻く日本社会の理不尽さなのか。

 とにかくこのストレスを少しでも解消するために二つの好きなことをする。一つはスーパー銭湯と呼ばれるお風呂屋へよく行くことだ。露天風呂の大きな湯船に浸かり、夜空の星を見る。ちょっとしたぜいたくで至福の時か…想像しただけでも脳波がアルファー波になりそうだ。

 そしてもう一つは深夜番組を見ること。最近、「うんちく」が流行っているが、深夜番組から人気が出たものだ。私もよく会社で日本人の同僚を相手に「うんちく」を披露する。

 焼肉産業が市場規模1兆1000億円に成長したとか、焼肉業界はもともとは在日コリアンの1世同胞が育てたものだとか、ホルモンは在日コリアンが極貧の中、捨てられていた部位である内臓をうまく料理したものだとか…。ほかにも、世界ではじめて印刷技術を発明したのはグーテンベルグではなく、それよりも200年以上も早く朝鮮で発明されたとか、祭りのときに言う「ワッショイ、ワッショイ」は朝鮮語の「ワッソ(来た)」が転じたものだという説があるとか…。

 もちろん、こんな「うんちく」は同胞同士だと、まったくうんちくにはならず、相手にされないが、日本人に話すとなんともくい付きのよい「うんちく話」となる。

 朝鮮や在日コリアンに対する日本人の理解が極めてゆがめられている今の社会状況のなかで、このような「うんちく」を身近な日本人に話すことは有益なことだと思っている。(鄭成玉、会社員)

[朝鮮新報 2004.4.17]