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中山文科相妄言−「天知る、地知る、子知る」

 中山文科相がまたもや妄言を吐いた。大分県でのタウンミーティングで、歴史教科書について「きわめて自虐的で、やっと最近、いわゆる従軍慰安婦とか強制連行とかいった言葉が減ってきたのは本当によかった」とか「自分たちの民族や歴史に誇りをもって生きていけるような教育をすることが大事だ」と語った。

 近年、日本の政治家のこのような稚拙で恥ずべき発言が相次いでいる。ことが重大なのは、文科相という次代の教育に責任を持つ者の歴史認識の歪みなのである。史実を隠し、嘘を並べて次代を教育したところで、本当に「日本の誇り」が取り戻せるとでも思っているのだろうか。

 中山妄言を厳しく批判する19歳の予備校生の投書が新聞に載った。「権力者は歴史の真実をねじ曲げ、隠すことがある。だが、隠したはずの事実から生じた罪は消えない。事実をそのまま伝えようと努力する中で、悲惨な戦争を繰り返させない平和主義の考え方をしっかり学ぶことこそ大事だと思う」(朝日新聞、11月30日付)。

 こんな立派な若者が育っていることこそ、誇りにすべきであろう。しかし、日本の政治家、官僚、作家、メディアなどからは時代錯誤の発言がエスカレートするばかりだ。日本帝国主義の亡霊がよみがえったのかと思わせる昨今の動き。海外派兵も実現した今、風前の灯となった平和憲法を「始末」しようとうごめく好戦的な国家主義者たちの暗い野望が透けてみえる。隣国を侵略した過去を消したり、美化することは許されぬ。「天知る、地知る、子知る、我知る」。−そう、世界中が知っているのだから。(粉)

[朝鮮新報 2004.12.6]