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不妊治療支援−中日朝−魯迅が結ぶ縁

 「朝鮮初の体外受精児」誕生の本紙の記事は、ソウル発の聯合ニュースなどでも伝えられ、大きな反響を呼んでいる。

 不妊治療はどの国の人々にとっても、関心が高い。日本では83年に東北大学医学部産婦人科の研究チームが成功させて以来、その技術は日進月歩で進んでいる。

 このほど、平壌産院で技術指導に当たった仙台の今泉英明医師(58)によれば、すでに日本では体外受精によって生まれた3人の女性から、赤ちゃんが誕生したという。これから次世代へと命を繋いでいくことになろう。不妊に悩んでいる人たちにとってはこのうえない朗報である。

 それにしても縁とは不思議なもの。今泉さんがこの13年間、朝鮮側にさまざまな技術を伝授する際、その通訳に当たったのが、仙台から帰国した平壌産院の医師だったという。細かい意見の疎通は「彼がいたからこそ」と今泉さんは心から感謝する。

 縁といえば、仙台はちょうど百年前、中国の作家・魯迅が留学し、医学を学んだ所。ここで民族意識に目覚めた魯迅は、医学の道を捨て、文学を通しての民族救済を決断した。今泉さんは学生時代から魯迅文学の大ファンということもあって、もともと東アジアの平和と和解への深い信念を持っていた。

 「世界をとかく日米中心に見ようとする人たちがいる。歴史的にも、地勢学的にもそれは無理がある。中国、朝鮮、日本という東アジアの絆を大切にしていかないと、この地域の平和と繁栄はありえない」と語る。そのためにも、医学で日朝交流にどんどん貢献したい、と今泉さんは熱い気持ちを吐露した。(粉)

[朝鮮新報 2004.11.8]