ひとつの舞台に−地道で小さな積み重ね |
金剛山歌劇団の日本巡回公演「悠久な歴史の香りを」が好評を博している。 今年の公演は茨城県からスタートした。茨城公演では「茨城在日コリアンと日本の友との夕べ」と題して、歌劇団の出演に先立ち、茨城朝鮮初中高級学校の生徒らと同胞コーラスサークル、日本の市民コーラス140人による合唱が披露された。 公演を見たある観客からは後日、このような感想が寄せられた。「在日朝鮮人という理由だけで、幾多の障害を体験しなければならなかった子どもたちの顔と、ステージで立派な演舞を見せてくれた芸術家たちの姿が重なって見えた。言われなき中傷非難を浴びながらも、たくましく生きる魂、歌劇という形で人生の悲哀と、それを超克する生命の力を見た」。 この日、大合唱のタクトを振った張弘順さんは、「いま、在日朝鮮人を取り巻く環境は非常に厳しい。こんな時、私たちと手を取り合って平和の歌をうたう日本の友人たちとは、20年も前からつきあってきた。信頼関係は昨日、今日、知り合ってできるものではない。日頃の地道で小さな交流の積み重ねが互いの信頼を築くもの。合唱に出演した生徒たちにも、それを観に来た観客たちにも、朝鮮学校生徒と同胞、日本の友人たちの歌声がたいへん励みになったのでは」と話していた。歌と踊りが過去と現在をつなぎ、人と人とをつなぐ。いや、人々の地道で小さな努力の積み重ねこそが、これらを支える鍵であることは言うまでもないだろう。(潤) [朝鮮新報 2004.11.1] |