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脅迫電話−卑劣漢には負けぬ

 あれは昨年の正月3日、会社の日直を1人でやっていた時のこと。雪がチラチラ舞う寒い日だった。電話の音が鳴り響いた。

 「おまえ、朝鮮人か、この野郎、今、殺しにいくから待ってろ」

 「にんにく臭いやつめ、お前たち、朝鮮人は早く北朝鮮に帰れ」

 聞くに堪えない罵詈雑言、悪罵の限りが電話口から機関銃のごとく吐き出されてくる。切っても、切ってもかかってくる執ようさ。吐き気のするような言葉をメモしながら、その理不尽さ、理性も知性のかけらさえない男の罵声に激しい憤りを覚えたものだった。

 名も名乗らぬ卑劣漢。「殺すぞ」という脅迫、威嚇、問答無用のダミ声。記者だけでなく誰にとっても、言い知れぬ恐怖を与えるものだろう。

 拉致問題が浮上して以来、このような恐怖感が朝鮮学校に通う子供たちの日常を覆い、実際、チョゴリの切り裂き事件もひん発していた。記者も当時、朝高に娘が在学していたこともあって、再三、注意を促してはいた。

 しかし、実際、自分が脅迫電話を受ける当事者になってみると、その恐さは、リアルさにおいてまるで違ったものになる。

 しばらくは、電話恐怖症にかかったり、電車に乗る時も前後左右の気配に怯えたりもした。大人でもこんな目にあったら、なかなか立ち直れないのに、チョゴリ事件や暴行事件の被害者たちの受けた心の傷はどんなに深いのだろうかと、察するに余りある。

 1人の朝鮮人として、女性として不当な言葉の暴力や圧力に屈するわけにはいかない。この怒りと憤りをぺンの力に変えて、ひるまず闘っていこうと強く思った。(粉)

[朝鮮新報 2004.8.13]