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ハルモニの手紙−時を越え、海を越え

 ある休日のこと。突然、友人から「見せたいものがある」と電話が来た。

 部屋の整理をしていたところ「懐かしいもの」が出てきたとのこと。ちょうど買い物へ行こうと思っていたので途中で落ち合うことにした。

 かばんからゴソゴソと取り出したのは、国際郵便の封筒だった。

 「桂香へ―お前の手紙は受け取ったよ。何よりも元気だというので安心した。家の者もみな元気で、お前のアボジ、オモニは、毎日休まず働いている。妹も頑張って学校に行っているよ。ハルモニが指を折って数えてみると、桂香がウリハッキョに行って14年になるんだね。ハルモニのお願いだよ。体には気をつけて。服は温かく着るんだよ。桂香のハルモニ 朴貴女より」

 大学生のとき、冬に祖国で美術の講習を受けていた際、平壌のホテルからハルモニに宛てた手紙への返信だった。

 植民地時代に日本へ渡って来たハルモニは、文字の読み書きができなかったという。

 「朝鮮で生まれ育ったのに、自分の名前も書けなかったんだから…」と友人。

 解放後、総聯の「成人学校」で文字を習い、この手紙を送ったのだった。紙には鉛筆で書いては消すことを繰り返した跡が残っていた。「なんだか涙が出そうになっちゃって」。友人のハルモニは82歳になる。

 「ハルモニやハラボジ、アボジ、オモニたちが心を込めて作り、守ってくれた学校で、私たちは何不自由なく学んできた。厳しい環境の中、同胞と組織が一丸となって学校を守ることが大切」。

 亡きハラボジ・ハルモニの姿を思い浮かべながら、一世たちの思いが胸いっぱいに広がった。(潤)

[朝鮮新報 2004.8.9]