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上海の街角で−多様な生き方求める若者

 中国を駆け足で見てきた。56の民族、13億の人口。街には伝統と近代という新旧の営みが同居。空を覆うばかりのビル群、高速道路を埋め尽くす車、車…。まるで巨大な龍が吐き出す息のような活気が街中にあふれていた。

 上海空港からのリムジンバスで偶然、隣に座った趙啓友さん(27)。日本企業で働くOLだ。上海から飛行機で3時間もかかる古都・西安出身で、もっか、上海で1人暮らしだとか。渋滞のバスの中、約2時間も電子辞典で日本語と格闘し続けていた。「学資を貯めて日本に留学した後、故郷・西安で、ベンチャー企業を起こしたい」とやる気満々。バイタリティーあふれる女性だった。

 上海のホテルでは、東京からの留学生T君に会った。小さなホテルで宿泊の交渉をヘタな英語でやっていたところ、流暢な中国語で助けてくれた23歳の好青年。聞けば、昨年反日デモで話題になった西安の大学で4年間学び、今、上海で就職活動中だという。翌日には久しぶりに東京の実家に帰る予定だと笑顔で語っていた。

 この青年にお礼をしたくて近くの屋台で夕食を共にした。こちらが在日朝鮮人だと話すと「大学でコリアンの友人がたくさんできました」とニッコリ。一度、日本の大学に入ったが、肌に合わず、中国に留学したいきさつに触れながら、「中国のすべてのものを飲み込むかのような懐の深さと活力が自分の性に合っている。何でも機械化され、人間にエネルギーがない日本に帰ると体調が悪くなる」と言う。

 一元的な価値ではない、東アジアの広い舞台で多様な生き方を求める若者らの姿。はつらつとして好感が持てた。(粉)

[朝鮮新報 2004.7.26]