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「大長今」−生き生きした女性像に魅了

 今、南のドラマが日本でも大流行である。

 筆者も夢中で見てしまい腰痛にまでなった「大長今」(全54部)は、朝鮮王朝時代に歴史上初めて王の主治医となった女性を描いたものだが、在日同胞の間でも大変な人気だった。また、NHKで3回も放映されている「冬のソナタ」は、日本の女性たちを虜にしているようだ。

 南でも「大長今」の視聴率は56.8%と高く、日本で敗戦後流行った岸恵子主演の「君の名は」に匹敵するほどの社会現象を起こしたという。

 「放映時間になると街から人が消えた」「ドラマ終了後、皆が虚脱感を覚え、TV離れを起こしている」などなど。

 なぜ、こんなにファンの心を引きつけるのか。もちろん主役の魅力もあるだろう。しかし、それ以上にジェンダー(性差)、フェミニズム論にもとづくドラマの脚本と「セリフ」に秘密があるような気がする。

 「大長今」は16世紀の朝鮮王朝時代の話。女性は家父長制の呪縛の中にあって、息もつけなかった頃だが、ヒロインの1人の人間として、女性として、医者としての苦闘と成長は、「性差」や「時代」を超えて見る者の心に熱い共感を呼び起こす。

 歴史を男性の視点だけで描く時代は終わった。封建時代にも、仕事に情熱を傾け、自分の才能を磨き、懸命に生きた女性たちがいた。そして、その苦闘を助けたすばらしきパートナーの存在。

 「あなたが好きだから、あなたが幸せになるならどんなことでもしてあげたい」。奇しくも2つのドラマでヒロインを支えるパートナーが語る同工異曲の「セリフ」。 

 現実の数歩先を行く理想的な男女の姿。ここにハマッた人が多いが、でも目が覚めるとネ…。(粉)

[朝鮮新報 2004.5.22]