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子どもの未来を奪った戦争−イラク攻撃から1年

 もうすぐ米英軍によるイラク攻撃から1年になる。開戦以来、数万人のイラク人が殺され、数千人の米英兵士が死傷した。イラクの人々は今、反占領の抵抗闘争を闘っている。

 今年は透明でやさしい色彩が特徴の水彩画家、いわさきちひろの死去30年に当る年でもある。第2次世界大戦後、子どもの絵を描き続けることによって平和の大切さを語り続けた彼女が描いた子どもたちは、どれも生命の大切さを語りかけている。癌でこの世を去るまで、彼女が心を痛め続けたのは、当時、爆撃にさらされていたベトナムやカンボジアの子どもたちのことだった。ベトナム戦争で最も北爆が激しかったといわれる72年には、「このままでは、ベトナムの子どもたちがみんな殺されてしまうのではないか」との思いから、病におかされながらも、絵本「戦火のなかの子どもたち」(岩崎書店)を制作した。淡い色彩が特徴の彼女の絵から色と光が消え、モノトーン調の絵からは、戦禍の子どもたちの寂しさ、ひもじさがひしひしと伝わって来る。

 「2度と罪のない人々を殺してはならない」「子どもたちを戦火にさらさないで」とのちひろの願いは、無情にもブッシュ、ブレアの耳には届かなかった。昨年3月20日、ミサイルが戦艦から発射され、航空母艦から爆撃機が発進し、建物が爆発、炎上、空を覆う真っ赤な炎の中で、たくさんのイラクの子どもが傷つき、家族を失い、平和な生活を奪われた。そして、イラク戦で大量に使用された劣化ウラン弾は、今後も子どもたちを蝕み続けていく。攻撃の口実だった「大量破壊兵器」は見つからなかった。ブッシュは戦争の責任を取るべきだ。(潤)

[朝鮮新報 2004.3.15]