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「助けたり、助けられたり」−ある農民の心

 鳥インフルエンザ、BSE…。地球上の一地域で起きる病気や災害がたちどころに全地球規模に拡大し、農業、酪農、養鶏関係者、消費者たちに大打撃を与えている。昨日は繁盛していても、今日はたちまち閉店、倒産、ひいては店頭から食材が消えるのではないかという不安も…。

 取材で知り合った秋田の農民・高橋良蔵さん(79)。地道な酪農家であり、町議会議員、県出稼組合書記長を長く務め、農業の傍ら「百姓宣言」などの著書も多い。

 敗戦後の激変する日本農業を身をもって体験した。翻弄される日本農業と農村を守ろうとさまざまな努力を積み重ねてきた。10年以上前には、朝鮮からの農業代表団を迎えて、東北地方の農村を案内したこともある。

 訪朝したのは4回。日本の植民地支配と朝鮮戦争によって破壊し尽くされた朝鮮農業が復興したのを喜んでいたが、95年からの大水害で災難を被ったことに心を痛めていた。

 高橋さんの行動は素早かった。自ら筆を執り、救援米や医薬品を朝鮮に送るよう訴える緊急アピールを出した。それを読んだ農村の仲間から救援物資が、続々と集まり、朝鮮に届けられた。

 その一方で拉致問題以降の日本の軍事大国化の動きを強く危惧し、東北でシンポジウムなども開いてきた。

 「助けたり、助けられたり。それが人の生きる基本ではないでしょうか。まして、侵略戦争の責任と償いをいまだに果たしていない日本が今すべきことは、東アジアの平和のために日朝正常化に尽くすことです」(粉)

[朝鮮新報 2004.2.9]