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若鮎のように−埼玉スタジアムに吹いた春風

 正月2日は家族で初詣ならぬ「初応援」に埼玉スタジアムに出かけた。試合開始の1時間前、午前11時頃、地下鉄の浦和美園駅に着いた途端、たくさんの知人と会った。みんな笑顔で正月のあいさつを交わし、道すがら大阪朝高ラグビー部の話題で盛り上がる。胸の内には「サッカーでも選手権1勝を」の悲願がふつふつと燃えたぎる。

 スタジアムに着いて京都の同胞たちと「よかったね、がんばったね」とねぎらいの声をかけあう。聞けば2日の0時過ぎに京都をバス14台で出発、朝7時頃、東京に到着したと言う。長旅の疲れも感じさせず、どの顔もほころんでいた。

 早速、チームカラーと同じ赤の帽子とTシャツを身につけて、「戦闘モード」に入った。応援席も京都のオモニたちと一緒に陣取り、今か今かと試合の開始を待つ。

 ホイッスルが鳴って、試合が始まると、前評判通り、相手の武南はやはり試合巧者。しかし、京都も次第に緊張感がほぐれ、よく走り、果敢に相手陣営に切り込む。オモニたちの応援も次第にヒートアップして、まるで監督のように一人ひとりの選手名を呼びながら、叱咤激励を繰り返す。そして、相手が2点目を挙げた後は「直接ゴールしろー」と絶叫。グラウンドの外ではまちがいなく相手を圧倒していた。

 この日のスタジアムは約9000人で埋まり、その内の約3分の2は赤色。広い舞台に躍り出た若鮎のような選手たちのまぶしい姿は、異国暮らしの身世をしばし忘れさせてくれた。選手たち、春風を吹き込んでくれて、ありがとう。(粉)

[朝鮮新報 2004.1.19]