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春・夏・秋・冬

 少女から大人の女性へ、見事に変身していた。女子柔道のケ・スニ選手である。初めて会ったのは1996年。今から8年前、彼女が16歳の時だ。アトランタ五輪代表に選ばれた彼女にインタビューを申し込んだが、優勝候補の田村(当時)亮子選手に対抗する「秘密兵器」ということで断られた。顔だけは見せてくれたのだが、恥ずかしそうにうつむくばかりだった

▼しかし今回、福岡女子国際柔道選手権のためにやってきた彼女は違っていた。堂々として物怖じせず、いじわるな質問も嫌がらずはきはきと答えてくれた。何よりも思いやりのある女性に育っていた

▼今回、練習中に腰を痛め、やむなく欠場した。彼女の活躍を期待していた同胞が数多くいることを十分に知っていて、記者とのインタビューの際にも、同胞歓迎委員会主催の宴会でも、「申しわけない。同胞たちの前で立派な試合を見せたかったのに」と繰り返した

▼歓迎宴では、テーブルを一つひとつ回り、同胞の要望に応えてカメラに収まったり、他の選手たちとともに歌も披露した。最後、「統一列車」になった時にも、その輪にきちんと入っていた。ケ選手に限らず他の選手たちも同様だった。52キロ級3位に入ったアン・クメ選手は、「同胞社会がいろいろと大変なのは祖国でも聞いて知っている。だからこそ、優勝して同胞たちを元気づけたかったのに」と語っていた

▼とはいえ、彼女たちが来ただけで、同胞たちには多少なりとも力になったようだ。ケ選手にサインをねだる子どもたちの姿や喜ぶ1世の表情がそれを物語っていた。(聖)

[朝鮮新報 2004.12.16]