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春・夏・秋・冬

 「今思うのは、小さいことを重ねることが、とんでもないところに行くただ一つの道だと感じている」。ヒット262本で今シーズンを終えた大リーガーのイチローが、257本の年間最多安打新記録を達成した際、インタビューに答えて語った言葉だ

▼前人未踏の大仕事を成し遂げた人について、よく「天才」という言葉が使われる。だが、イチローの周辺からは、むしろ「努力」という言葉がよく聞かれる。父親の鈴木宣之さんも、「一歩一歩の積み重ねだ」と、いみじくも息子と同じ発言をしている。果たして「努力」の人なのだろう

▼「1%の才能と99%の努力」から天才が生まれると語ったのは発明王エジソンだが、実際、偉人や有名人は人知れず努力をしているものだ。しかし、イチローの言葉でほっとするのは、「もしかしたら自分も大きなことをできるのではないか」と希望を抱かせてくれることだ。定めた目標に向かって小さなことを積み重ねていくことなら、自分もできそうだからだ。とうてい届かない天才なのではなく、いつかはやり遂げられると思える

▼ある総聯支部委員長からこんな話を聞いたことがある−日必ず何人かの同胞に会うことを自分に課している、そういう積み重ねによって初めて同胞たちとの真のコミュニケーションがとれる、すると不思議なほど支部も活性化されていく

▼イソップの蟻とキリギリスの話は教訓的だ。毎日一生懸命に働いて食料を蓄えた蟻と毎日遊び放題で結局何も蓄えられなかったキリギリス。何事にも王道はないことを、イチローが教えてくれている。(聖)

[朝鮮新報 2004.10.7]