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「58年間、不完全ながら世界平和と安定の拠り所にしてきた(国連の)基本精神に根本から挑戦するもの」−先月23日、ブッシュ大統領、小泉首相ら各国首脳が出席した国連総会で演説したアナン事務総長は、先制攻撃戦略によってイラクに侵攻した米国のやり方をこのように厳しく批判した。攻撃の口実にした大量破壊兵器が存在していなかったことを、ブッシュ政権はイラクのフセイン政権を潰し、イラク人民の生活を、秩序を破壊し尽くした後に認めた。これが米国流の民主主義である ▼あらためて指摘するまでもなく、ブッシュ政権の牙は、今なお朝鮮、イランにも向けられている。「悪の枢軸」なのだ ▼クリントン時代に調印された朝米共同コミュニケを一瞬にして葬り去り、濃縮ウランによる核開発で包囲網を狭め、最近では「大規模爆発」「新型ミサイル発射実験」云々で揺さぶった。加えて「北朝鮮人権法案」の米上院での可決である ▼この法案、「北朝鮮の人権状況を改善するため」というが、その中味は「亡命」「脱北」を米政府が資金的に援助し、合わせて対朝鮮宣伝活動を強化、圧力をかけていくというもの。「人権法案」という響の良い語句を使っているが、先制攻撃戦略と表裏一体の朝鮮破壊、圧殺を合法的に推し進めていくための手段であることがわかる ▼近いようで遠い米国、その実相が日常的に伝えられることはほとんどない。せいぜいメジャーリーグかハリウッドスターの類。その人権状況はといえば、人種差別に代表されるように他国に口出しできる状況にない。(彦) [朝鮮新報 2004.10.5] |