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春・夏・秋・冬

 オリンピックには魔物が住んでいるのではないか。さしずめ、その餌食となったのが女子マラソンを途中棄権したラドクリフ。沿道から飛び出してきた男性に突然抱きつかれたのはブラジルの男子マラソン選手、バンデルレイ・デリマだ。それまで順調にトップを走っていたが、このハプニングもあって、3位に甘んじた

▼レース後、「事件について誰かを責めることはあるか」という質問に、「それはない。…今回のような事件は、どこでも起こりえること。ただ、それがマラソンレースの最中に起こったというだけだ」。母国の陸連がスポーツ仲裁裁判所に提訴する意向についても、「その結果は気にしない。僕はメダルを取れて満足している」。潔さが目立った会見だった

▼一方で、ドーピング検査の判定が黒にもかかわらず、金メダルを返さない選手もいる。ドーピングと関連して出場を辞退したギリシャの陸上選手など、なぜこうした問題がいつまでたってもなくならないのか

▼理由をひと言で言うのはむずかしい。だが背景に、国威発揚があることはまちがいないだろう。もちろん、選手たちは金メダルをとるために、日夜厳しい練習に耐えてきた。金をほしいと思うのは当然だ。それでも、ある選手が語っていたように、「メダルの色はいろいろあるが、本当に重要なのはそこに向けて努力していくことじゃないか」

▼平和の祭典であるオリンピックは、世界五大陸の選手たちが競技を通して友好と理解を深め合う場であってほしい。偏狭なナショナリズムの発露の場にはならないでほしい。(聖)

[朝鮮新報 2004.9.2]