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春・夏・秋・冬

 自転車を乗り回し、喚声を上げてくったくなく遊びまわる子どもたち。何の変哲もない日常の風景である。それが一瞬にして、米艦船から撃ち込まれたトマホークの攻撃によって阿鼻叫喚の地獄絵図に生まれ変わる

▼マイケル・ムーア監督の話題の映画「華氏911」を見た。貿易センタービルがハイジャックされた航空機攻撃によって崩れ落ち、ペンタゴンが炎に包まれた「9.11」。アルカイダによる攻撃を予測しながら見逃し、いつしか「テロとの戦争」にすりかえて米国の矛先は石油大国イラクに向かった

▼無能であれ有能であれ、権力を持つことの何たるかを知らない大統領の下にいる民衆たちが不幸になることが必然であることを、日常風景を通じて見せて行く

▼米上院議員たちのうち、イラクの戦場に息子を送っている者は1人しかいない。死傷者の続出、任期を終えて帰国する兵士。戦争を拒否して休暇から戻らない兵士。勝利したはずの戦争に「勝つため」に戦力の増強を迫られ、貧困と背中合わせで生きる若者たちを失業からの脱出、成功者になれる可能性をほのめかして軍に誘い込み兵力不足を充当する。「民主主義の憲兵」を自負し、世界に君臨しようとし続ける米国とはいったい何ぞや、である

▼「テロとの戦争」はアフガニスタンから始まり、ついでイラクに主役は交代させられた。しかし、米国にとって「イラク、イラン、朝鮮は悪の枢軸」。イラクと朝鮮は重なり合っており、ただ今はイラクだけなのである。米国からの侵略、戦争の現実性を再認識させられた。(彦)

[朝鮮新報 2004.8.31]