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祖国統一への意志を全世界に表明した2000年6月15日の北南共同宣言。その後の展開は、すでにわれわれが目にしてきた通りである。にもかかわらず、その前途に一抹の不安を覚えてきた。その理由は南朝鮮の「国家保安法」の存在である ▼1948年、日本の「治安維持法」を母体に制定された同法は、北を「反国家団体」と規定(2条)。「反国家団体への鼓舞、煽動罪」を定め(7条)、米国(CIA)の後押しのもとに登場した軍事独裁体制の維持、言い換えれば自由と民主、統一を求める民衆、団体弾圧の手段として乱用されてきた ▼今も同法によって「韓国大学総学生会連合会」(韓総連)などは「利敵団体」に指定され、合法活動を妨げられている。金大中前大統領も少なくとも2度、合法的に殺されかけた ▼北南共同宣言発表後、交流、協力事業が活発に進められるなか、南朝鮮では同法の改廃問題が大きなテーマとなってきた。今春の総選挙で第1党に躍り出た与党のウリ党や民主労働党などは廃止を主張している ▼こうしたなか昨年来、同法の在り方を検討してきた「国家人権委員会」は24日、法務部と国会議長に対して全面廃止を勧告した。「自由、人権、思想、良心、表現の自由など人間の尊厳を侵害」し「南北交流協力法とも矛盾する」との見解である。現在、一時的に中断している北南の動きも、7月8日の民間追悼代表団の阻止、8.15民族大会からの「韓総連」排除など、保安法の存在が根底にあった。交流、協力事業の推進とその阻止−矛盾の解消が待たれる。(彦) [朝鮮新報 2004.8.26] |