|
統計を調べたわけでなく、あくまでも印象であるのだが、ここ数年、日本社会で自分の子どもに対する虐待事件が増えているのではないか。ニュース番組を見ていると、子どもに食事を与えない、暴力を加える、そして死に至らしめるといった事件が伝えられることが多く、やるせない気持になる
▼ある本によると、虐待とは性的虐待や暴力だけでなく、親が子どもを無視すること、子どもの夢を否定すること、頭が悪いとしかること、大人のロジックを用いて言い負かすことも、十分虐待になりえると指摘している。褒めずに否定しつづけると、子どもは自分が価値のない人間だと思い込んでしまうと警鐘をならしている ▼このような指摘を読むと、自分自身の子育てのなかにも十分に危険が潜んでいると恐ろしくなる ▼イラク駐留米軍によるイラク人虐待が発覚して以来、波紋はますます拡大している。軍としての関与は当然あったのだろうが、笑みを浮かべて写真に収まっている、直接手を下した米兵個々人の心の中をさぐれば、親子の関係で親が絶対的な「支配力」を持っているのと同じように、看守である米兵がその支配力を戦争によるストレスのはけ口として虐待という形で噴出させたのはまちがいない ▼ただ、親の虐待と違うと思うのは、米兵がイラクの人々を同じ人間だという視点で見ていたのかという点だ。米国のこれまでの侵略の歴史自体、この視点の欠如が根本にあると言える。米兵の虐待をあえて例えるなら、ホームレスの人たちを虐待する子どもたちの無知とごう慢さに似ている。(徹) [朝鮮新報 2004.5.13] |