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先月、米大統領選挙取材のためにワシントンを訪れていた知人によると現在、世界的規模で取り上げられている米軍のイラク人虐待問題が大きな影を投げ掛け、今後の行方を左右しそうだという。それに追い討ちをかけるように、イラク侵略を開始するまでのブッシュ政権の内幕を描いたウッドワード(ワシントン・ポスト記者)の「攻撃計画」が出版され政権内部の根幹を揺るがしているとも
▼ウッドワードは、ウォーターゲート事件を暴き、当時のニクソン大統領を辞任に追い込んだ記者としてその名が知られている ▼この新著、まだ筆者は読んでいないので詳細はわからないが、知人いわく、米国市民たちは果たしてブッシュという人物に政権を任せてよかったのだろうかと、後悔の念をにじませながら自問自答しているのだという ▼「その象徴的な部分」だと指摘するのが、イラク開戦を歴史はどう評価するのかとのウッドワードの問いに「歴史? わからない。(人間は)みな死んでしまうから」という部分。「全知全能の神」にも例えられるほどの巨大な権力を持つ大統領の資質がこの程度とは、他人ながら悲しくなってしまう ▼悲しくなるといえば、日本の政界を揺るがしている閣僚、国会議員たちの国民年金未納問題。一般大衆には無条件、義務の履行を求めながらこの体たらく。国民としての自らの義務も果たさないこうした御仁たちが天下国家を口にし、外為法改悪、そして特定船舶入港禁止、ひいては経済制裁をうんぬんする。反面われわれの権利、まともに保障されたものは何もない。(彦) [朝鮮新報 2004.5.11] |