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「ファンタジア」という映画をご存じだろうか。名曲を映像にしたらどうなるか、という壮大な試みにディズニーが挑戦した。シューベルトの「アヴェ・マリア」、ムゾルグスキーの「禿山の一夜」、バッハの「トッカータとフーガ」などお馴染みの曲がつぎつぎ登場する ▼たとえば、「禿山の一夜」の場合、夜中の12時の鐘とともに墓場から現れた亡霊が歌や踊りの饗宴を始める姿が描かれる。夜明けの鐘とともに墓場に戻っていく亡霊たち。まさに音楽と映像のコラボレーションといった感があった ▼この中で興味深かったのはストラヴィンスキーの「春の祭典」。地球という星がどういう過程を経て今のような形になったのかを、科学的根拠に基づいて克明に描いた。隕石の落下、恐竜の登場、そして絶滅、氷河期の訪れ…気の遠くなるような作業のすえに今の地球があるのだと思うと、子ども心にわくわくしたものだ ▼戦前に制作されたこんな古い映画のことを思い出したのも、先日、某国営放送の番組を観たせいかもしれない。人類の誕生をテーマにしたこの番組によると、人間の祖先はバクテリアだったという。「もとはみんなバクテリアだった? なら、今のようにあちこちでいがみ合う必要なんてないではないか」と一人ごちて番組を見ていたら、ナビゲーター役の男優も同じことを言っていた。この思いを共有できる人間が一人、二人と増えれば、世界はもっと平和になるのだと思う ▼「人類みな兄弟」はスローガンでも何でもない。祖先がみんな同じだった頃を思い出す時だ。(聖) [朝鮮新報 2004.4.20] |