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春・夏・秋・冬

 3月後半に続けて注目すべき判決があった

▼3月26日、新潟地裁は、第2次大戦中に強制連行、労働をさせられた中国人男性らが日本国と新潟市の港湾輸送会社に損害賠償などを求めた訴訟で、企業と国家に総額8800万円を支払うよう命じる判決をくだした

▼強制連行、労働の国の賠償責任を認めたものであるうえに、時効を認めないとした点、戦前の憲法で国家が公権力の行使について民法上の責任を負わない「国家無答責」の法理の適用を退けた点、関係正常化に際しての日本への請求権放棄を適用しなかった点など、評価されるべき踏み込んだ判決となっている。しかし、あくまでも地裁の段階、これまでの事例からして、今後、判決が覆る可能性はきわめて高い

▼3月31日には、東京高裁が「週刊文春」の出版差し止め命令を取り消す逆転決定を出した。表現の自由を守り、公権力の言論への圧力を許さないという意味で妥当な判断だといえよう。しかし、日本のマスコミによる「ペンの攻撃」を受けてきた被害者がまた多くいるのも事実だ。「拉致問題」以降の反朝鮮、反総聯の狂乱的な報道がどれだけ日本の右傾化、朝鮮学校に通う子どもたちへの暴言、暴行を助長してきただろうか

▼最後は、3月26日の東京地裁の判決。康永官総聯中央元財政局長に対し懲役6年という不当な判決をくだした。証人が捜査当局の調書を全て否定したにもかかわらず裁判官はまったく無視するなど、はじめから「有罪ありき」の裁判であった。誰かが誰かを「裁く」とはどういうことなのか、考えさせられる。(徹)

[朝鮮新報 2004.4.1]