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米国がイラクに侵攻してから1年になる。ブッシュ大統領はその「正当性」について、「イラクの地に民主主義をもたらし、米国の平和を脅かすならず者、テロ・破壊者たちを駆逐するためだ」と今も強弁している ▼米兵の死者はすでに500人を超えた。当初の「解放者」気分は吹き飛び、イラク民衆たちの敵意と憎しみの視線を背に浴びながら、絶え間ない死の恐怖とたたかう毎日だと、ある海兵隊員はテレビで語っている。一時休暇で家に戻った兵士たちの原隊復帰拒否も増えている。精神障害をきたし自殺する者も ▼米国という国は、破壊活動に乗り出す時には、きまって「民主主義を守るために」という枕詞を並べる。ベトナム戦争しかり、選挙という民主主義手法で選ばれたチリ・アジェンデ政権を、裏で糸を引きながら軍部を動かして打倒した時もそうだった。自国の「裏庭」だと認識しているキューバには、数え切れないほどの試みをしてきた ▼奇しくも、南朝鮮で盧武鉉大統領の弾劾決議が野党の賛成多数によって可決され、大統領職務が停止されてしまった。これも民主主義である。しかし、南朝鮮の民衆たちは米国一辺倒のハンナラ党が主導した今回の弾劾劇の裏で米国が介在、糸を引いているのではないかと見ている ▼1987年の6月抗争によって大統領直接選挙を実現させ、初めて民衆たちは自らの手で指導者を選ぶ権利を手にした。軍人、情報機関を通じた米国の「統治」がついえた瞬間である。そして今や、同床異夢の同盟関係。南の民衆たちの疑い、危惧する意味がわかる。(彦) [朝鮮新報 2004.3.16] |